2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J55592
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
仁井田 千絵 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 映画史 / ミュージカル映画 / ラジオ / 1930年代 / アメリカ文化 / マーク・サンドリッチ |
Research Abstract |
研究目的:アメリカでは1930年代初頭からラジオを題材にしたミュージカル映画が製作されるようになる。中でも、ラジオ歌手フィル・ハリスが主演している1933年の二作品『これがハリス』、『レヴュー艦隊』は、後に1930年代の代表的なミュージカル映画とされる『トップ・ハット』などを監督したマーク・サンドリッチの出世作でもあった。サンドリッチはラジオという主題をどのようにミュージカル映画に取り入れているのか、それはミュージカル映画の形式が1920年代から1930年代にかけて変化する過程の中で、どのような役割を果たしたのかを明らかにする。 研究方法:2009年7月15日から2009年7月26日にかけて、ロサンゼルスにある映画芸術科学アカデミーのマーガレット・ヘリック図書館に赴き、同図書館が所蔵する「マーク・サンドリッチ・コレクション」の調査を行った。同調査期間中には、UCLAのフィルム・アーカイヴにも赴き、ラジオを題材にした1930年初頭の他の映画を視聴することで、サンドリッチ監督の二作品と比較することを行った。 研究成果:「マーク・サンドリッチ・コレクション」にある映画の脚本、ストーリーボードからは、ラジオを音源とする音声の使用と、その間の映像との対比が、映画の製作時から意識的に成されていたことが明らかになった。また、ラジオという題材によって成された映画全体の物語と個々のミュージカル・ナンバーとの連関は、それ以前のバックステージを中心にしたミュージカル映画の形式から、1930年代後半から主流になる統合型のミュージカル映画への移行を示す一つの事例として捉えられることが分かった。
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Research Products
(4 results)