2010 Fiscal Year Annual Research Report
高泌乳牛の卵胞嚢腫発症における分子細胞学的解明および遺伝多型の解析
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09J56041
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
村山 千明 国立大学法人 帯広畜産大学, 畜産学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 畜産学 / ウシ / 生殖科学 / 転写制御因子 / 卵胞 / 卵胞嚢腫 / 内分泌 / 卵巣 |
Research Abstract |
本研究では卵胞膜細胞におけるステロイド産生に焦点をあて、その分子的機構について解析してきた。卵胞膜細胞でのアンドロステンジオン産生の機能が正常にコントロールされない場合、卵胞嚢腫へと至る。培養卵胞膜細胞に卵胞のアンドロステンジオンの産生分泌を促す主要な因子であるLHを処理し、継続的かつ過剰なアンドロステンジオン産生が誘発される条件を検討し、卵胞膜細胞を用いた卵胞嚢腫の体外培養モデルを作出した。ウシ卵巣内卵胞(直径10-15mm)から分離採集した卵胞膜細胞を用い、高用量(50ng/ml)LHを24時間前感作した後、低用量(2.5ng/ml)のLH処理する体外培養モデル用いて解析した。アンドロステンジオン産生に関係する因子であるStARおよびCYP17のプロモーター領域のアセチル化度合はLH作用強度により変化することが明らかになった。特に、CYP17プロモーター領域は高用量LH感作後の低用量LHによってアセチル化が抑制され、LHサージ後におけるCYP17遺伝子発現低下の要因になっていることが示された。また、StARプロモーター領域へのSF-1の結合度合は、低用量のLH処理で有意に増加したが、高用量LHの前感作はその増加を阻害したが、GATA6の結合度合は増加した。以上の結果から、StAR遺伝子プロモーター領域への転写因子の結合能はLH作用強度により変化することが明らかになった。さらに、卵胞嚢腫発症の起因分子を特定するために、食肉処理場由来ウシ嚢腫卵胞および正常卵胞(前排卵卵胞、閉鎖卵胞)より卵胞膜細胞を採取し、Gene Fishing PCRによって網羅的遺伝子解析を行った。シーケンス解析によって嚢腫卵胞特異的な発現の遺伝子配列を特定したところ、3種類の嚢腫卵胞において特異的発現の遺伝子を特定することができた。
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Research Products
(4 results)