2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J56591
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鎌原 勇太 Keio University, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 民主主義 / 民主主義指標 / 政治参加 / 政治的競争 / 討議 / 操作化 / 政治過程 / 計量分析 |
Research Abstract |
本年度は、民主主義の新たな指標を作成するという研究課題に基づき、研究実施計画一年目に沿って、民主主義指標に関する研究動向の把握と民主主義の新たな測定次元について考察した。(1)民主主義指標や民主主義理論の研究動向を追った結果、様々な操作化を行っているデータセットが多数存在し、それぞれに問題点が指摘されること、代議制民主主義の補完という観点からの国民投票や住民投票といった市民の直接投票は、市民の短期的個人的な選好の集合となってしまう問題がある、といったことが分かった。 (2)その結果、政治参加と政治的競争という従来から測定されている二次元に加えて、個人の意思の集合とは異なる「集団としての」政治的な意思決定、すなわち個人間、特にエリート間の「討議」を通じての態度変容の可能性をもたらすシステムが、民主主義の新たな次元として測定されるべきであることが明らかとなった。次年度以降、これらを操作化・指標化していく。(3)さらに、民主主義の効果測定のための分析の一つとして考えている内戦との関係について、先行研究を概観するとともに、既存の民主主義指標を用いて考察・計量分析を行った。その結果、民主主義が及ぼす内戦の発生に対する影響に関して先行研究の説明が一貫していないこと、それらはいくつかに分類できることが分かった。その成果は、"Democracy or Civil War? Reconsidering the Effect of Democracy on Civil War"としてシンポジウム等で発表した。この結果より、効果測定を行う際の分析枠組みに関する具体的な知見を得ることができた。以上のような本年度の知見を元に、次年度以降民主主義の指標化と作成した民主主義指標を用いての効果測定を行っていく。
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Research Products
(2 results)