2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代中央アジアにおけるシティズンシップ-境界と差異化の政治社会史-
Project/Area Number |
09J57011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
須田 将 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中央アジア / 地域研究 / ウズベキスタン / 現代史 / 社会史 / ジェンダー / イスラーム / 政治学 |
Research Abstract |
今年度(平成21年12月-22年3月)は、これまでに収集したウズベキスタンの中央・地方国家文書館史料に基づき、戦前スターリン期におけるジェンダーと街区住民の差異化に関する論文を執筆した。そこでは、(ムスリム女性の覆いを取らせることが焦点となった)「女性解放」に向けた政策実施をめぐり、社会的立場や地位によって様々な反応がれ、ウズベク人社会内部で人々の差異が強調されたことを明らかにした。女性に対する態度が、ウズベク人男性をふさわしい「ソヴィエト公民」とそうでない者を分ける象徴的な役割を果たしたことや、1930年代後半になってもムスリムの慣習が維持され、ソヴィエト政権の施策への抵抗がみられたことについて、街区集会の議事録など地区階層の文書に基づき初めて詳述した点に、この論文の意義がある。研究上の概念の精緻化や、歴史叙述の方法に関しては、韓国開催の東アジア・スラヴ学会(EACSES)(3月)で「ユーラシアのムスリム社会と女性」に関するパネルを組織し、ウズベク人女性に対するソヴィエト政権の後見と、「旧慣」を維持する男性の差異化と排除に関して報告を行い、有益な批判とコメントを得た。また、米国スタンフォード大学フーヴァー研究所で史料収集を行い(3月)、とくにマイクロ化されたソ連共産党・国家機関の文書のうち、ロシア共和国内務人民委員部・ソ連最高検察庁・司法人民委員部・最高裁判所の中央アジア関連文書を閲覧・複写した。この他、現代政治に関しては、2009年末のウズベキスタン議会下院選挙に国際監視員として参加、選挙実施状況を詳しく観察するとともに、公認諸政党に取材し、その結果報告と分析を、日本中央アジア学会(松崎ワークショップ)(3月)で行った。
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Research Products
(3 results)