2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現量が有意に変化するゲノム領域を抽出する効率的アルゴリズムについて
Project/Area Number |
09J57021
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 惇 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | バイオインフォマティクス / エピジェネティクス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
実験技術の発達により遺伝子の発現量の変化とヒストンの修飾やDNAのメチル化といったエピジェネティックなデータがゲノムワイドに得られるようになってきた。エピジェネティックな変化と遺伝子発現の関連を明らかにしていくためには、これらの実験データから小さな変化をも見出すことのできる検出力の高い解析手法が求められている。また、データのサイズが増大していることから、これらの計算は高速に行われる必要がある。今年度は前年度に引き続き、バイサルファイトシークエンシングによるDNAメチル化のデータの解析手法に注目し、検出力の向上と高速化に取り組んだ。この研究によりバイサルファイトシークエンシングによって得られる様々な生物、組織、発生のステージ間でのメチル化の状態の詳細な比較、解析を大規模に行うことが可能となりDNAメチル化の果たしている役割についてより深い理解が得られることが期待される。 サンプル間でシトシンのメチル化率の差の有無を検定する際には、シトシン一つ一つについて検定をおこなっていた。しかし、この方法ではサンプル間でのメチル化率の変化が小さいときや、シトシンをカバーするリードの数が少ないときには検出力が低下してしまうという問題があった。このような問題を解決するために、Wilcoxon検定などを用いて、いくつかのシトシンをまとめて領域ごとに検定を行うことによってより高い検出力を実現する手法が用いられることが多かった。しかし、この手法にはサンプル間のカバレージ数に大きな差がある場合に偽陽性が増えてしまうという問題があった。我々は、Poisson-Binomial distributionを用いた検定手法を用いることで、この問題を回避する方法を開発した。また、片側検定だけでなく両側検定に拡張し結果の比較を行った。
|