2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストック・フロー構造の把握による中山間地域の持続可能性評価
Project/Area Number |
09J57041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 将門 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中山間地域 / 持続可能性 / 社会的必要性 / 限界集落 / ビジネスモデル / 流域圏 / 人工林 / 排出権取引 |
Research Abstract |
本年度は、中山間地域におけるストックの定義を行うと共に、それに付随するフローがどのようなもであるかを示した上で、中山間地域に期待される持続可能性を保持した土地利用のあり方について考察を行った。中山間地域の森林の特有の問題として、森林の内訳の半分は戦後の拡大造林施策による経済活動発展の為に植林された人工林(針葉樹林)であり、人工(例えば、橋梁、道路などのインフラストラクチャー)とも、自然(例えば、天然林など)とは、区別し、自然ストックを人間が経済活動のために改良した、半自然ストックであるということを確認した。さらに中山間地域のストックが、どのようなフローを必要とし、そして新たなフローを作り出すかについて検討し、中山間地域はストックが豊富にあったにも関わらず維持管理ができないためにストックの質・価値が下がり、過度なインフローと、微量のアウトフローを発生しているに過ぎず、現代の日本において日本の都市地域と補完的関係を有するのは海外であるという状態であることを確認した。また、持続可能性のもと、中山間地域が如何に他地域(例えば、都市地域)に社会的(外部)効果を作り出しているかをストック・フローのモデルによって再評価することが可能である。よって本研究では、中山間地域が作り出す様々な多面的効果が発揮する社会的必要性指標の開発に取り組んだ。自然・半自然ストックが放つ二酸化炭素吸収、水源涵養機能など、近年の科学技術で徐々に明らかにされている研究結果を統合すること、および一部で取り組みが始まりつつある排出権取引などのビジネスモデルを組み合わせることで、森林ストックが、放つ社会的必要性およびそれに付随する、インフローおよびアウトフローが起こすビジネスモデルの可能性についての考察を行った。さらに人口減少下および木材需要などを考慮した中山間地域のゾーニング(中山間地域からの撤退)についての検討も行った。
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Research Products
(3 results)