2010 Fiscal Year Annual Research Report
実世界動的相互作用下での随伴性検出と利用を導く意図理解を通じた語彙獲得発達モデル
Project/Area Number |
09J57061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 吏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 共同注意 / 随伴性 / 内部状態推定 / 強化学習 |
Research Abstract |
本研究では他者の意図推定およびそれに応じた行動の学習モデルを提案し,語彙獲得の基盤となる乳児の共同注意発達との対応を計算機シミュレーションにより検証した. 具体的には,強化学習における状態空間分割の手法であるIshiguro et al.の手法に状態遷移モデルを表現できるHMMを組み合わせることで,教示者の内部状態(主導モード,応答モード,非インタラクションモード)の違いを考慮した自律的な状態空間構築メカニズムおよび状態推定メカニズムを提案した.これによって学習者は,教示者の内部状態による自身の行動とそれに対する教示者の行動の随伴性の違いを学習し,教示者とのやりとりの履歴から教示者の内部状態を推定できる.さらに,学習者が自律的に分割した各状態に対し,報酬(共同注意の成功)を最大化する自身の行動を強化学習によって学習することで教示者の各内部状態に応じた特定の共同注意行動を獲得できる. 計算機シミュレーションにより,提案手法では教示者の注意対象を注視する視線追従行動の獲得はもちろんのこと,教示者が非インタラクションモードのときには養育者への振り返り行動や声を発するといった養育者の内部状態および注意対象を遷移させる誘導行動を獲得した.この誘導行動は直接報酬には結びつかないが,2,3ステップ後には共同注意に達することができる行動であり,実際の乳児と同様な共同注意行動を獲得したといえる.今後は言葉の学習も含めることで指示語の学習も可能であると考えられる.
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Research Products
(5 results)