1998 Fiscal Year Annual Research Report
イスラム圏における交通システムの歴史的変容に関する総合的研究
Project/Area Number |
10041009
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 和也 中央大学, 総合政策学部, 非常勤講師
飯塚 正人 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (90242073)
黒木 英充 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20195580)
羽田 亨一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (90092460)
上岡 弘二 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (80014512)
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Keywords | キャラバン道 / ムユリム社会 / 交通システム / イスラム / イラン / シリア / エジプト / ブルガリア |
Research Abstract |
第1年度である本年は、イラン、シリア、レバノン、エジプトとブルガリアにおける歴史的交通システムに関する調査を実施した。イランでは、これまでに未踏査のペルシャ湾岸とイラン高原を結ぶザグロス山脈越えのキャラバン道、とくにシーラーフ〜シーラーズ道に沿ったキャラバン・サライ、宗教施設(モスク、マドラサ、拝火神殿、墓地)、貯水施設、橋梁などの遺跡調査を行った。また、ザグロス山脈を生活圏とするカシュカウィー遊牧民の言語・民俗調査を行った。これによって、シーラーフ〜シーラーズ道の全貌がほぼ明らかとなった。またブルガリアでは、アラウィ一派ムスリム社会の現状調査と黒海沿岸の港市遺跡および内陸部に通じる交通ルートの調査を行い、バルカン半島のイスラム化と交通システムの関わりに関する重要な知見を得た。シリアでは、北部の中核都市アレッポを中心に広がる交通路の調査に従事した。18・19世紀の古地図と現代の地図とを対照させながら、ユーフラテス川流域から地中海沿岸までの範囲で、古代ローマ時代から残る石畳の道や、歴史的に通商路として利用されてきた道について、聞き取り調査も交えつつ踏査した。また、首都ダマスクス所在の歴史資料センター、アサド図書館、フランス研究所での文献調査に従事した。レバノンでも地中海沿岸の歴史的交通路に関する文献調査を行った。エジプトでは、カイロとナイル・デルタ間の交通はもとより、タンター、デスーク、マンスーラなどナイル・デルタ内の都市の間を相互に結ぶ交通ルートの現況調査と、当該地域で毎年行われるイスラム神秘主義教団の聖者生誕祭に関する聞き取り調査を行った。また、マンスーラ近郊のビルカース市では、今も主要な交通手段である乗合馬車(ハントゥール)の経営について調査した。イギリスでは近代エジプトの経済発展に関する文献調査を行った。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] 家島 彦一: "インド洋海域世界の歴史-海域ネットワークの成立と変遷-" FRONT. 11-6. 13-16 (1999)
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[Publications] 家島 彦一: "海域史に関する試論-地中海からインド洋まで-" アジア・アフリカ言語文化研究. 57. 1-20 (1999)
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[Publications] 黒木 英充: "Zimmis in Mid-Nineteenth Century Aleppo" Archiv Orientalni.Supplementa. 8. 205-250 (1998)
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[Publications] 飯塚 正人: "1300の屍の果て、暴走したイスラーム集団" 歴史学研究. 709. 45-50 (1998)
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[Publications] 飯塚 正人: "イスラームと原理主義" 現代中東研究. 18. 12-21 (1998)
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[Publications] 飯塚 正人: "エジプト:アズハル・ウラマー戦線理事会の解体" 中東研究. 444. 10-10 (1998)
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[Publications] 飯塚 正人: "Compatibility of Islam and Democracy" JIME Review. 11-42. 5-8 (1999)
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[Publications] 飯塚 正人: "西アジア・北アフリカ・近現代" 史学雑誌. 107-5. 315-319 (1998)
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[Publications] 寺島 憲治: "ウィーンとイスタンブールの狭間で-トルコ支配下のドナウ下流域" FRONT. 11-1. 14-16 (1998)
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[Publications] 吉枝 聡子: "人に会う、物に会う-イランとバーザール" アジアウェーブ. 70. 3-5 (1998)
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[Publications] 奥田 敦: "イスラーム法におけるイジュティハードの論理内在的な必然性について" Historia Juris比較法史研究. 8. 1-22 (1999)
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[Publications] 家島 彦一(共著): "アラブ" 河出書房新社, 374 (1998)
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[Publications] 家島 彦一(共著): "〈地域間研究〉の試み(上)" 京都大学学術出版会, 340 (1999)
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[Publications] 家島 彦一: "イブン・バットゥータ 大旅行紀(第4巻)" 平凡社, 535 (1999)
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[Publications] 上岡 弓二(編著): "暮しがわかるアジア読本・イラン" 河出書房新社(印刷中), (1999)
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[Publications] 黒木 英充(共著): "地中海という広場" 淡交社, 207 (1998)
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[Publications] 飯塚 正人(共編著): "イスラーム世界がよくわかるQ&A100" 亜紀書房, 269 (1998)
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[Publications] 飯塚 正人(共著): "東南アジア地域の他地域との人的・経済的・文化的関連に関する調査研究" (社)アジア社会問題研究所, 98 (1999)
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[Publications] 寺島 憲治(共著): "ことばミニ辞典" 三省堂(印刷中), (1999)