1999 Fiscal Year Annual Research Report
文化特異的養育行動と子どもの感情制御行動の発達;その日中比較
Project/Area Number |
10041040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Section | 一般 |
Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
荘厳 舜哉 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (10121732)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀島 信也 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (90241108)
河合 優年 三重大学, 教育学部, 教授 (00144098)
藤永 保 お茶の水女子大学, 名誉教授 (60017126)
坂元 章 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (00205759)
上原 明子 大阪成蹊女子短期大学, 児童教育学科, 教授 (10099525)
|
Keywords | 自己(セルフ)意識 / 文化特異的感情意識構造 / 恥の感情 / 個人主義・集団主義 / 社会的望ましさ / 人生観 / 感情表出スタイル / 親子関係 |
Research Abstract |
4つの調査チームが活動した。第一のチームは荘厳をヘッドとする,上海華東師範大学における5歳,4歳,3歳の,それぞれ異なる年齢の保育園児の観察である。これは軽いストレスを与える条件設定場面での,子どもの感情制御行動を観察・分析した。現在,5歳児集団の全てのデータ分析と入力が終了した。主要な結果としては,社会化が早期に完成していることと無関係ではないと思うが,中国の5歳児の方がストレンジャーに対して無関心であること,子どもの遊びに対する母親の関与が強いこと,ストレス耐性が強いことなどの特徴を指摘できる。 2つ目のチームは,上原をへッドとする,上海市の乳児院における行動観察である。日本と異なり,床に直接寝させるということがないためか,8ヶ月齢にも達すると歩行器での移動が目だった。子どもに対する保育者の関わりとしては,顔をのぞき込んだり視線を交差させたりする情緒的な関わりが少なく,生活課題に合わせて子どもを設定場面に移動させたり,介助したりする行動が目だった。詳細については現在分析中である。 3つ目のチームは,河合をヘッドとする内モンゴル赤峰市の保育園に関する登下校を中心とした観察である。内モンゴルにおいても1人子政策が目だち,親が子どもに対して過剰に介護する様子が印象的であった。親の介助姿勢は,日本よりもはるかに強い印象を受けた。初めての登園で感情的にストレス反応を示す子どもは,最近の日本よりも多いことも,もう一つの特徴であろう。詳細については現在分析中である。 4つ目のチームは,山本をヘッドとする吉林省延辺朝鮮族自治区における調査である。漢族の保母に比較して,朝鮮族の保母は日本の保母同様,子どもに情緒的に関わっていく姿が印象的であった。また,子どもと同じ目線で相互作用をおこなう姿勢が顕著であった。詳細については現在分析中である。
|