1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代アフリカにおける文化運動とエスニシティの人類学的研究
Project/Area Number |
10041055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 一般 |
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助教授 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 一久 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (90045261)
端 信行 国立民族学博物館, 先端民族学研究部, 部長・教授 (90044742)
和田 正平 甲子園大学, 人間文化部, 教授 (50110086)
栗田 和明 立教大学, 文学部, 教授 (10257157)
竹沢 尚一郎 九州大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10183063)
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Keywords | アフリカ / エスニシティ / 文化運動 / 伝統の創造 / アイデンティティ / 出稼ぎ / ディアスポラ / 先住民権運動 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の成果をもとに、各対象地域において展開されている文化運動のより具体的な実態の把握に焦点をあてた。とくに今回は、当該集団のグローバルな展開をふまえ、ディアスポラにともなうエスニシティの変容にも目をむけた。 具体的な調査内容と実績は以下のとおりである。 ザンビアのチェワ社会においては吉田が、儀礼の創生が民族意識の高揚や伝統の再興をもたらしていることをあきらかにした。また、三島はセネガルのソニンケ社会とかれらの出稼ぎ国タイを調査した。それによって、村における儀礼の再現に、出稼ぎ民による国外からの支援が深くかかわっていることを確認した。 タンザニア都市部において和田は、アフリカを代表するアーティストの一人、リランガやナンポカ、および親指ピアノの名手ザウォセとバガモヨプレイヤーズの活動に関して調査をおこなった。南アフリカのンデベレ社会で亀井がおこなった壁絵描画技術の成立と経緯の調査では、民族芸術をとおしたエスニシティにあらたな展開がおきていることがわかった。 池谷は南アフリカのコーサ社会とケニアのソマリ社会における土地権請求運動を調査し、エスニシティの実態から乖離した政策の問題点を指摘した。タンザニアのニャキュウサ社会での栗田の調査からは、農村から都市へ移動する人びとの移動形態が把握できた。 さらに江口がおこなったカメルーンのフルベ社会における口頭伝承の調査・分析は、都市化による民族意識の変容をより明確に提示した。
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Research Products
(27 results)
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[Publications] 吉田 憲司: "託宣に刻印された民族接触の記憶―ズィオン精霊教会の現在―"和田正平編『独立後のアフリカにおける国家政治と民族関係の総合的研究』. (印刷中). (2000)
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[Publications] 和田 正平: "これでいいのか日本の食事"アフリカの食と栄養. 95-131 (2000)
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[Publications] 端 信行: "アフリカでも稲作はおこなわれているのか"100問100答 世界の民族生活百科. 20-21 (1999)
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[Publications] 端 信行: "年齢を数えるのに「雨」をもちいる地域や民族は"100問100答 世界の民族生活百科. 132-133 (1999)
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[Publications] 江口 一久: "言語と言語生活"川田順造編『アフリカ入門』. 65-96 (1999)
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[Publications] 江口 一久: "バター娘 世界のあちこちで集めてきたお話 西アフリカ"asunaro. 412号. 24-27 (1999)
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[Publications] 江口 一久: "たいこ腹と細足とおちょぼ口と大頭の糠玉の男 世界のあちこちで集めてきたお話 カメルーン"asunaro. 415号. 24-27 (2000)
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[Publications] 竹沢 尚一郎: "物語世界と自然環境"鈴木正宗編『大地と神々の共生』. 58-83 (1999)
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[Publications] 竹沢 尚一郎: "世界システム論と人類学―ボゾとは誰のことか―"民族学研究. 64-2. 175-177 (1999)
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[Publications] 栗田 和明: "東アフリカ歴史紀行―タンザニア ニャキュウサ・ランド紀行―"歴史と地理. 521号. 31-40 (1999)
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[Publications] 栗田 和明: "アフリカ南部紀行―道路交通と人々の動き―"歴史と地理. 523号. 21-31 (1999)
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[Publications] 竹内 潔: "'Gorillas and Savages' ; An ambivalent relationship between Aka foragers and neighboring farmers"African Study Monographs. S.I. (2000)
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[Publications] 竹内 潔: "声の森―アフリカ熱帯森林の狩猟採集民アカの網猟"エコソフィア. 5. (2000)
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[Publications] 池谷 和信: "アパルトヘイト撤廃後の南アフリカの都市"熊谷圭知編『第三世界の新たな地域像を求めて』. (2000)
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[Publications] 佐々木 重洋: "失敗した託宣―アフリカにおける『芸術』研究の可能性―"世界思想. 26号. 26-31 (1999)
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[Publications] 佐々木 重洋: "仮面儀礼に表象される隣国人-カメルーン・ナイジェリア国境の事例から-"和田正平編『独立後のアフリカにおける国家政治と民族関係の総合的研究』. (印刷中). (2000)
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[Publications] 三島 禎子: "大家族のあつまる場"佐藤浩司編『住まいにつどう』. 189-206 (1999)
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[Publications] 三島 禎子: "セネガル・モーリタニア紛争をめぐる民族間関係"和田正平編『独立後のアフリカにおける国家政治と民族関係の総合的研究』. (印刷中). (2000)
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[Publications] 三島 禎子: "サヘルの「宇宙人」"月刊みんばく. 260号. 11-11 (1999)
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[Publications] 亀井 哲也: "ニャベラ記念日とンズンザの歴史:南アフリカ共和国、ンズンザ・ンデベレ"季刊リトルワールド. 70号. 11-16 (1999)
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[Publications] 板坂 真季: "おしゃれが伝えるもの:アフリカ女性の身体コミュニケーション"月刊言語. 28-4. 14-19 (1999)
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[Publications] 板坂 真季: "髪型と身体認識:西アフリカ・ブルキナファソで花開いた髪形文化"化粧文化. 39. 47-64 (1999)
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[Publications] 竹沢尚一郎: "世界システム論と人類学―ボゾとは誰のことか―"民族学研究. 64-2. 223-236 (1999)
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[Publications] 吉田 憲司: "文化の「発見」"岩波書店. 267 (1999)
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[Publications] 和田 正平: "独立後のアフリカにおける国家政治と民族関係の総合的研究"明石書店(印刷中). (2000)
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[Publications] 江口 一久: "北部カメルーン・フルベ族の民間説話集VI(印刷中)"松香堂. (2000)
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[Publications] 佐々木 重洋: "カメルーン南西部、エジャガム社会の仮面文化に関する研究(仮題)"世界思想社(印刷中). (2000)