1998 Fiscal Year Annual Research Report
南アジア灌漑効率の比較研究-LLDCsへの農業技術移転の視点から-
Project/Area Number |
10041056
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長南 史男 北海道大学, 農学部, 教授 (00113697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 甚治郎 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40163729)
佐々木 市夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70125384)
近藤 巧 北海道大学, 農学部, 助教授 (40178413)
黒河 功 北海道大学, 農学部, 教授 (90125310)
土井 時久 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (60137388)
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Keywords | 灌漑の経済効率 / 農民灌漑組織 / 政府灌漑組織 / 深井戸・浅井戸灌漑 / 技術移転 / 開発経済援助 / 世界銀行融資プロジェクト / 南インド |
Research Abstract |
南アジアでは、灌漑施設の整備と高収量品種の導入が肥料の増投と相俟って農業生産性を引き上げてきた。しかし、灌漑施設は海外からの経済・技術援助によって整備されることが多く、移管後の管理は必ずしも充分ではない。援助受入れ国の財政力が不十分であること以外に、援助そのもののありかたが移管後の管理を非効率にしていることもあげられる。この点を明らかにするために、本年度は、特にネパール、タライ地方の世界銀行プロジェクト、ルンビニ・バイラワプロジェクトを中心に調査した。また比較のために、19世紀中期に創設された長い歴史をもつ農民管理の灌漑組織、チャティスモージャを実態調査した。世界銀行プロジェクトは1999年5月までにすべての事業を終了する予定で、現在、農民組織への移管の最終段階にあるが、種々の問題を抱えている。灌漑施設管理の効率を左右する要因について、これまでの調査から以下のような点が明らかになっている。 1)深井戸灌漑施設の農民組織への移管は、受益区域内の多くの農民が不参加を表面し、順調に進んでいない、 2)これは農業用水の利用料金が農民の負担に耐え得ない(基本電気料金すら支払いが困難)ことに基本的な原因がある、 3)灌漑施設の今後の維持管理に対する意識は、現状の低い利用水準を前提にして、最低限の維持管理にとどめることが合理的と判断しており、協力的な維持管理行動に結びついていない、 4)乾季の野菜作における灌漑用水利用は大きな経済効果を生んでいるが、農産物市場が未発達である。 この他、バングラデシュのChandiaraとBograの灌漑状況についての予備調査、またスリランカのIMMIの研究動向の調査を実施した。
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