1999 Fiscal Year Annual Research Report
米国、ドイツ、インドにおける知的財産権(IPR)の経営学的分析
Project/Area Number |
10041096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 一般 |
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
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Keywords | 知的財産マネジメント / 競争優位性確立のツール / バイオインフォマテイックスグループ / ゲノム情報 / バイオベンチャー / Dynamic Patent Portfolio / EC指令 / 知的財産の社会的、倫理的側面 |
Research Abstract |
研究代表者は、ドイツでも特に知的財産マネジメントが徹底していると思われるSimens、Hoechst及びBayerを特に分析の対象として調査を行った。また、Max-Planc-Institutにおいて、Director Christpher Heath氏らと、EUの知的財産マネジメントのあり方についての詳細な意見交換を行った。 ドイツ企業においても、昨年度の米国調査同様に、知的財産権は人的資本と並行的にポジショニングされており、戦略上「競争優位性確立のツール」として活用されていることには相違はない。ドイツ企業の知的財産権戦略の近年の特徴としては、知的財産マネジメントが徹底している企業群が医薬・化学関連の多国籍企業に際立っているいることが言える。そして、遺伝子情報を知的財産とポジショニングして、高性能のコンピューターを用いて遺伝子配列を分析し、医薬品のターゲットとなる生体分子を探求して、生物分野の研究者に提供するとともに、世界のバイオベンチャーと提携し、ゲノム情報に付加価値を与える研究に特化し始めている点が大きな特徴であると思われる(Bayer社はバイオインフォマテイックスグループを組織化)。 10年間の議論を経て、ヨーロッパ議会がバイオテクノロジーの特許法制を承認する決定を行い、EC指令を出したことに合わせ、ドイツ企業が、ヨーロッパ企業の中でも特にバイオパテント出願に意欲的な取り組みを加速化させている傾向(Dynamic Patent Portfolio)は顕著である。しかし、米国と違い、ヨーロッパにおいては、遺伝子関連の特許化の動きには反発が根強いことも否定できず、企業が社会的、倫理的側面からの問題提起にいかに対処しつつ戦略を構築していくのかが今後の課題であると言えるのかもしれない。
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