2000 Fiscal Year Annual Research Report
米国、ドイツ、インドにおける知的財産権(IPR)の経営学的分析
Project/Area Number |
10041096
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
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Keywords | 知的財産マネジメント / バイオテクノロジー / 遺伝資源 / 生物多様性条約 / WTO(世界貿易機関) / バイオパイラシー / インド / 米国 |
Research Abstract |
近年のバイオテクノロジーの発展に伴って、米国においてインドの生物資源に基づく特許出願が増加している。ターメリックやニームと呼ばれる植物の殺菌、殺虫効果を利用した発明に関わる出願から、ヒマラヤ山麓のバスマティ米と呼ばれる品種までもが、テキサスのバイオ企業によって特許出願されている。それら、インドの生物資源を利用した特許出願については、インドは国を挙げてそれらの発明と称されるものがインドでは既に伝統的知識に基づいて利用されてきた事実を訴え、それらの特許取消しを求める政策を出してきている。 研究代表者は、米国、ドイツ、インドにおける知的財産権の経営学的分析を行ってきたが、バイオテクノロジーの技術が進歩し、さらには遺伝子レベルでの発明が進むにつれて、その対象となる生物自体、そして遺伝子の所有権をめぐる対立、それが新たな南北問題として顕在化している現実に直面した。そして、特に、バイオ関連の特許の取得の是非をめぐっては、生物多様性条約に基づき、生物資源の国家主権を主張する途上国(特にインドがその急先鋒)と先進国(特に米国がその急先鋒)の対立は特に激しい様相をみせており、それは次期WTO交渉の行き先にも大きな障害となることが懸念されている。バイオ関連企業においては、特に、知的財産マネジメントは企業の存亡を揺るがしかねないファクターとなってきてはいるが、同時に当該分野の知的財産権マネジメントは、一企業の知的財産のポジショニングからだけでは分析仕切れない国際的、そして、社会的、倫理的問題としても、大きな影響力を持ってきている。 本年度は、米国型の知的財産マネジメントに異を唱えるインド人研究者への意見の聴取とともに、米国にあっても高まる米国型知的財産マネジメント至上主義への疑問の声を捉えるべく、MIT及びハーバード大学の知的財産マネジメント研究者と意見の交換を行った。
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