1998 Fiscal Year Annual Research Report
南米・パタゴニア地域における3完新世の氷河変動と近年の氷河変動機構の解明
Project/Area Number |
10041105
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10111361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
リベラ アンドレ チリ大学, 地理学科, 助手
カサッサ ジーノ マガジャーネス大学, 南極プログラム,チリ, 助教授
和泉 薫 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (50114997)
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
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Keywords | バタゴニア / バタゴニア氷原 / ソレール氷河 / ティンダール氷河 / 氷河変動 / 氷河流動 / 氷河気象 / 氷河水文 |
Research Abstract |
安仁屋は北パタゴニア氷原のソレール河谷において氷河地形の調査を行い、過去の氷河の前進を示すモレインから年代測定のための資料を採集した。プローモ湖とべルトラン湖を隔てるターミナル・モレインはヤンガー・ドライアス期(約1万500年前)の可能性があるが、ここでカーボン14測定のための有機物とコスミック・レイ測定の岩石のサンプリングを行った。今回、ソレール川上流で認めた2列のターミナル・モレインは1万年以降の完新世ものと考えられる。資料の年代測定の結果からこれらのモレインの年代が推定できると、北氷原の完新世の氷期の編年が可能となる。さらに、ソレール氷河では末端の1995年以降の変動を記録した。 成瀬と和泉はソレール氷河において研究協力者(山口悟、松元高峰、大野浩)とともに、11月9日から12月12日まで気象観測、氷河観測、および水文観測をおこなった。気象観測はモレイン上で気温、湿度、表面温度、風速、日射量、放射収支量、降水量の連続観測を、氷河上では気温、湿度、アルビードの適宜観測を行った。氷河の流動は氷河消耗域のほぼ中央線に沿った中流域から下流域の8点で計測した。その他、氷河の歪み速度の測定、表面高度の測量、融解量の測定を行った。水文観測は流出河川の水位・流速・水温の測定、そして水質調査(電気伝導度、試料採集)である。さらにビデオ撮影によるヒャーデス山斜面からの氷雪崩のモニターを行った。 カサッサとリヴェララは南パタゴニア氷原のティンダール氷河の涵養域に行き、1999年の雪の涵養量観測のための予察調査を行った。南パタゴニア氷原では年間の積雪量のデータがいまだにないので、このための観測と雪の水質調査のための掘削場所の選定、登攀ルートの偵察などを行った。
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