Research Abstract |
本年度は,日米豪の共同研究として,オーストラリア・ダーウィンにおける総合的な雷観測を,当地にしばしば発生する巨大雷雲を対象として実施するとともに,一昨年11月に打ち上げられたTRMM衛星搭載のLIS(lightningImagolng Sensor)の地上データとの照合を行い,その機能検証につとめた。観測実施の期間は,11月15日から12月21日までとなっている。ダーウィンにおける地上観測では,日本側は干渉計方式による雷放電路の可視化技術を確立するとともに,放電開始機構,放電進展機構の理解を図った。この目的のため,ベースラインをほぼ20kmとする2箇所の観測基地を,オーストラリア研究者と共同で設営した。これらは二カ所に設置した全方位カメラによる光学観測との照合により確認する様配慮されており,現在解析中で詳しい結果は近日中に学術論文誌に投稿,発表の予定である。上記に加えてALPS(雷放電進展様相光学観測装置)を稼働をし,落雷の最終雷撃過程(アタッチメントプロセス)を観測的に研究した。この光学観測は本研究にとって新規の主題で,今年度は必ずしも満足の行く結果が得られていないので,次年度に期待したい。ところで上記2箇所の観測点は,当初の計画よりはさらに奥地である,ミドルポイント及びハンプティードゥーとしているが,電波的により静かな地点を選んで最適化を図った結果によっている。分担者である米国側の研究者は,衛星データ及びレーダデータを取得,現在互いの結果と比較検討すべく解析中である。オーストラリア側は,当初のロケット誘雷実験を断念,代わりに雷放電に伴うVLF放射や,電離層への放電RedSprites及びBlue Jetsの検出を第一主題とした。そこで日本側も暗視カメラを用意し,協力体制を引くことにした。なおこれらのすべての地上観測は,TRMM衛星観測の他のパラメータ,降水量,赤外放射,水蒸気量,等々と比較しつつ,雷乱を総合的な観点から理解して行く予定である。
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