1998 Fiscal Year Annual Research Report
散在型反復配列を指標にしたアフリカ産カワスズメ科魚類の系統進化の研究
Project/Area Number |
10041161
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 典弘 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (60132982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一彦 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40302955)
大島 一彦 東京工業大学, 生命理工学部, 講師 (60282852)
遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授
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Keywords | レトロポゾン / シクリッド / アフリカ / タンガニイカ湖 / マラウィ湖 / PCR / 系統 |
Research Abstract |
タンカニイカ湖、マラウィ湖、及びビクトリア湖といった東アフリカの湖には数百種もの固有のカワスズメ科魚類が生息しており、爆発的適応放散の典型的な例として形態、生態、および行動といった側面から多くの興味深い研究が為されてきた。しかし、これまでに行われてきた形態及び分子マーカーに基づく系統学的研究にも関わらず、それらの系統関係の大部分は依然として未解明である。本研究では、逆転写を介してゲノム中に増幅するレトロポゾンの一種であるSINE(shortinterspersed element)のオルソロガスな遺伝子座への挿入を共有派生形質と考え、主にタンガニイカ湖の本科魚類に重点を置いた系統学的解析を試みた。その結果、従来の分子マーカーを用いた解析により推定されている系統関係とよく一致し、しかもより詳細な類縁関係を推定することに成功した。推定されたタンガニイカ湖産本科魚類の系統樹上に口内保育及び基質産卵という2つの様式の保育行動をプロットしたところ、両者の様式が互いに適応放散の過程で少なくとも3回以上変化したことが明らかになった.また、タンガニイカ湖産本科魚類では様々な食物への特殊化が見られるが、各食性グループを系統樹上にプロットすると、それぞれの主要な系統間において並行的に様々な食物への特殊化が起こっていることが推定された.これらの結果は、タンガニイカ湖産本科魚類の適応放散過程を推定する上で興味深い.
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