2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044005
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
篠田 知和基 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00022260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 一男 和光大学, 表現学部, 教授 (70183952)
山本 節 静岡大学, 人文学部, 教授 (60024048)
吉田 敦彦 学習院大学, 文学部, 教授 (20054322)
渡辺 浩司 中央大学, 経済学部, 助教授 (20278401)
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Keywords | 神話 / 母神 / 母子神 / 老神 / 狩猟伝承 / 犠牲神 / 稚児伝承 / 怨霊伝承 |
Research Abstract |
平成10年よりフランス側の研究者としてグルノーブルのワルテル、シガノス、ソルボンヌのルクトゥ、アンジェのブルミエ、ブザンソンのエル、パリのポノを加えてた海外共同研究として発足し、平成11年より、制度の変更により、基盤Bとなった。共同研究としては都合4回の国際シンポジウムでの討議と、フランスでの共同調査でその実をあげた。 一回目は「荒猟師の東西」と題し、ヨーロッパ中世の「荒猟師伝承」を古代にさかのぼってその起源と変遷を追求し、それと日本の怨霊伝承との接点をさぐった。このうち重要な部分がグルノーブルの研究雑誌IRISに掲載された。 二回目はソルボンヌの北欧神話学の泰斗レジス・ボワイエとスイスの神話学者で「神々の母」を発表して注目をあつめているフィリップ・ボルジョ、それにインド・ヨーロッパ神話学のベルナール・セルジャンをまねいて「冥界の母神」として大母神の姿を比較検討した。 三回目は「東西の老賢者」とし、ヨーロッパのアーサー王伝承におけるマーリンにみられる魔術師、あるいは世界の陰の演出者としての老人像にスポットをあてた。日本では役の行者、阿倍清明、久米仙人などのほか、サルタヒコに照明があてられた。 4回目は母神にだかれた「おさな神」をとりあげ、オリエントの水辺の豊饒の女神と、犠牲神との対について考えた。わがくにではスクナヒコナ、ニニギ、あるいはオオクニヌシに幼児神の相貌が明らかだが、中世の寺院世界では稚児伝承があり、観音の奇瑞にもつらなるとともに、また、罪障と聖性の交錯する神話世界の特性もあきらかにされた。 このほかに1日のみのシンポジウムを名古屋で2回、東京で一回行った。またフランスでの研究発表を5回行った。
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Research Products
(32 results)
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[Publications] Chiwaki Shinoda: "La Chasse nocturne au Japon"IRIS. no.18. 101-113 (2000)
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[Publications] 篠田知和基: "フランスの蛇女神メリュジーヌ"ユリイカ. 12. 88-101 (1998)
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[Publications] 篠田知和基: "猿田彦試論"フランス語フランス文学論集. 3. 119-123 (1999)
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[Publications] Chiwaki Shinoda: "Histoires de loup-garou au Japon-variation sur Kintaro 2"プリュム. 4. 128-133 (1999)
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[Publications] Chiwaki Shinoda: "Sarutahiko a la lumiere de Merlin"Les Vieux sages, Merlin eurasiatique. 2-9 (1999)
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[Publications] Chiwaki Shinoda: "Yanagida Kunio et Origuchi Shinobu, aux sources de"Mandragore. 101-123 (1998)
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[Publications] Atsuhiko Yoshida: "The beginning of the cult of Mother Earth in Europe and in Japan"Tenri Journal of Religion. no.28. 37-49 (2000)
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[Publications] 山本節: "禅智内供の鼻"説話・伝承学. 6. 29-45 (1998)
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[Publications] 山本節: "天かける魔軍"荒猟師伝承の東西. 121-126 (1998)
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[Publications] 山本節: "異界の母神としてのイザナミ"冥界の大母神. 37-40 (1999)
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[Publications] 山本節: "「消えた新妻」の諸相"流言、噂、そして情報. 57-63 (1999)
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[Publications] Takashi Yamamoto: "Kume-sen, "L'ermite de Kume""Les Vieux sages, Merlin eurasiatique. 90-99 (1999)
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[Publications] 松村一男: "女神とポリス:アテナとアテナイ"女神:聖と性の人類学. 201-227 (1998)
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[Publications] 松村一男: "神話学"和光大学人文学部・人間関係学部紀要 別冊エスキス 99. 164-169 (2000)
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[Publications] 松村一男: "古代ギリシャの荒猟師-ディオニソスとその眷族"荒猟師伝承の東西. 95-100 (1998)
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[Publications] 松村一男: "大母神観念の源泉"冥界の大母神. 23-28 (1999)
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[Publications] Kazuo Matsumura: "The Figure of Wisdom in Ancient Greece : Chiron the Centaur"Les Vieux sages, Merlin eurasiatique. 141-152 (1999)
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[Publications] Kazuo Matsumura: "The Eurasian Myth of the Birth of Cosmic Ruler"Enfant-Dieu, Est-Ouest. 105-115 (2000)
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[Publications] 渡辺浩司: "「速歩の短詩」に現れる死者の騎馬行列"中央大学人文研紀要. 35. 19-53 (1999)
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[Publications] 渡辺浩司: "クレチアン・ド・トロワとは誰なのか?"世界文学. No.90. 8-17 (1999)
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[Publications] Koji Watanabe: "Le motif du sanglier dans les mythes et le folklore japonais"Mythologies du porc. 93-100 (1999)
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[Publications] 渡辺浩司: "黄泉比良坂と猪目洞窟:出雲神話に見られる「異界への入口」をめぐって"中央評論. 233. 85-92 (2000)
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[Publications] Koji Watanabe: "Le defile de femmes mortes dans le Lai du Trot"IRIS. no.18. 73-84 (2000)
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[Publications] 渡辺浩司: "アーサー王物語の中に動物神話の痕跡を見る-アーサーと熊の神話をめぐって"言語. 29-12. 68-73 (2000)
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[Publications] 篠田知和基: "竜蛇神と機織姫、文明をつむぐ昔話の女たち"人文書院. 382 (1998)
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[Publications] Chiwaki Shinoda: "La montagne et al litterature japonaise, in"Montagnes imaginees, montagnes representees"Ellug. 45-56 (2000)
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[Publications] 吉田敦彦 ほか: "世界の神話をどう読むか"青土社. 345 (1998)
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[Publications] 吉田敦彦: "水の神話"三弥井書房. 245 (1999)
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[Publications] 吉田敦彦 ほか: "世界の神話とサルタヒコ"大和書房. 31-49 (1999)
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[Publications] 吉田敦彦編: "世界の神話"新書館. 254 (2000)
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[Publications] 松村一男: "神話学講義"角川書店. 266 (1999)
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[Publications] 松村一男: "女神の神話学"平凡社. 318 (1999)