1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南省の少数民族(特にハニ族)の文化を通してみた古代日本文化
Project/Area Number |
10115217
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
欠端 實 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (50167334)
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Keywords | 穀霊信仰 / 雲南の少数民族の文化 / 古代日本文化 |
Research Abstract |
日本文化における穀霊信仰、聖樹崇拝、祖霊信仰の特色を明らかにするために、1998年10月から1999年2月まで5ケ月にわたって、雲南省の少数民族(特にハニ族)を対象にアンケート調査を実施した。調査対象地域を(1)墨江(2)元陽・紅河(3)プーアル・思茅・江城(4)西双版納の4地域に分け、合計47の村落を対象とした。 特に、神話にも通じ、各種の祭祀を司ってきたモポー(司祭)を対象にアンケート調査を実施した。雲南の少数民族の穀霊信仰は、元来、祭祀対象も時期も多様であったと推察される。しかし、歴史的経過を通って今日では稲に特定化されている場合が多い。稲作儀礼のうち特に重視されている初穂刈りの時、倉入れの時に稲魂を呼ぶ儀式が執り行われる。穀倉には普段食べる籾を保管するものと、播種用の籾が保管されるものとがあり、後者には稲魂が宿るとして神聖視される。のみならず穀霊信仰は聖樹崇拝、祖霊信仰とも密接不可分のものとして存在している。 ハニ族の文化と古代日本文化とは、いずれも年間を通じての祭祀儀礼が穀霊信仰とその祭儀を根幹としていること、ホクラ(穂庫)をホコラ(神殿)として神聖視した点など、文化的に共通の基盤に立っているということができる。さらに稲魂と祖霊と聖樹の3者が密接に関係しあっていることも両者の文化に共通している。ただし、日本は国家を形成し穀霊信仰を国家的祭儀に発展させ、荘厳化・複雑化させたのに対して、国家を形成することのなかったハニ族は原初的形態を維持して今日に至っている点は非常に異なる点である。 今後、アンケート調査の資料を踏まえて古代日本文化の特色を明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)