1999 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける生活世界の探求ー多元的共生社会のモデルを求めて
Project/Area Number |
10116106
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小谷 汪之 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00086943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 康正 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (40108197)
麻田 豊 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70116135)
小西 正捷 立教大学, 文学部, 教授 (10161960)
山下 博司 東北大学, 言語文化部, 助教授 (20230427)
石井 溥 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014513)
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Keywords | 生活世界 / 多元的共生 / 民衆文化 / 言語と政治 / エスニック対立 / 人の移動 / マスメディア / 宗教対立 |
Research Abstract |
今年度は、次の二つの課題に重点的に取りくんだ。 1 インド東部諸州、バングラデシュ、ネパールにおける民衆生活の変動。 インド・ビハール州の民芸であるミティラー絵の現状、ネパールのシュルパ族やプラジャ族の生活における最近の変動、バングラデシュの仏教徒、バルアの生活環境の変動などをとおして、いわゆる伝統的生活様式や文化に現在大きな変動が生じつつあることが明らかとなった。しかし、同時に人々がそれをただ受動的に受け入れているのではなく、変動する時代の中で自らのアイデンティティの再構築を求めて主体的に動いていることも理解できた。 2 パーキスタン、インド北部、西トルキスタン(ウズベキスタン)、イランにまたがるペルシャ語文化圏の設定とその歴史の解明。 かつてこの地域には、ペルシャ語を共通語とするイスラーム文化圏が存在したと想定されうるが、18世紀、特に19世紀になると英露対立の渦中にまきこまれ、さらにソ連邦の成立以降は、「鉄のカーテン」によって分断された。しかし、ソ連邦の解体以後、再びある共通の文化が成長し始めているように感じられる。それを確認するために、パーキスタン、ウズベキスタンの研究機関を訪問した結果、ペルシャ語文献のカタログ化、それらのイランにおける出版などの文化交流が進んでいることを確認しえた。 そのほかにも、言語、マスメディアなどとの関係においてスリランカにおけるエスニック対立の現状を探った。
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[Publications] H. Kotani: "Kingship, State and Local Society in 17-19th Centry Deccan"N-Karashina ed. , Kingship in Indian History. 編著. 237-271 (1999)
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[Publications] 山下 博司: "密教と南インド"密教文化研究所紀要. 別冊2. 189-208 (1999)
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[Publications] 麻田 豊(編): "映画スクリプト「傷痕」(サフム)(ウィルドゥー語)"東京外国語大学語学教育協議会 AV教材. (1999)
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[Publications] 小西 正捷: "インダス文明論"岩波講座「世界歴史」6. 203-224 (1999)
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[Publications] 小谷 汪之: "穢れと規範―賤民差別の歴史的文脈"明石書店. 208 (1999)