1998 Fiscal Year Annual Research Report
B2型金属間化合物の点欠陥挙動およびその原子拡散機構との関連性の解明
Project/Area Number |
10136244
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
古我知 峯雄 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (90079046)
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Keywords | 金属間化合物 / B2型規則相 / 点欠陥構造 / 回折実験 / 熱統計計算 / 構造空孔 / FeAl合金 |
Research Abstract |
B2型金属間化合物相は等原子比組成近傍に多くの2元合金に形成される。組成の化学量論比からのずれ,または温度上昇に伴い点欠陥が形成されるが,その振舞いが材料特性として原子拡散機構と密接に関連する事は良く知られている。この点欠陥挙動に関して,in-situ高温中性子線・X線回折法に基づく実験的ならびに熱統計法に基づく理論的研究を行った。 B2FeAl合金に対する回折実験の結果,熱空孔はFe,Al格子席上にほぼ同等に形成される(RVD),また不正原子(不正格子席を占める原子)は正規格子席に戻る(ASAR)傾向がある事を見出した。これはB2型合金に現れる点欠陥に対して従来考えられていた,不正原子(ASD)と複合欠陥(TRD)タイプのいずれにも属さない新しい知見である。 上記特徴を踏まえて,B2型合金ABの点欠陥形成機構をBragg-Williams法に基づき熱統計的に考察した。その際,基底状態(絶対0度)における構造欠陥はASDであるとし,構造空孔はいかなるB2合金にも存在しないとした。これはNiAl,CoAl,FeAl合金に対し最近我々が行った密度測定による空孔濃度の実測に基づき導かれた結論である。更に昇温に伴う熱欠陥はRVD機構による空孔形成を基本とし,ASARとTRD機構とが混在したhybrid状態を仮定した。計算結果(casel)は,B過剰側で空孔濃度が昇温に伴い増加し構造空孔量に近づく事,更に不正B原子の戻りが起こる事を示した。また組成変化の結果よりA過剰側で不正A原子が,B過剰側でA空孔(A格子席上の空孔)が主要欠陥である事,更にB過剰側で少量の不正B原子が存在する事が示せ,B2NiAlの実測と良く符号した。case2では,A過剰側でA空孔,B空孔が昇温に伴いほぼ同量に増加し,B2FeAlのRVD的振舞いが再現された。また空孔濃度の組成変化がA過剰側で緩やかでB過剰側での急増と好対照となる事も実測と良く一致した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Kogachi,T.Haraguchi,S.M.Kim: "Point defect behavior in high temperature region in the B2-type intermetallic compound FeAl." Intermetallics. 6・6. 499-510 (1998)
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[Publications] M.Kogachi,T.Haraguchi: "Random vacancy distribution in B2-type Intermetallic compound FeAl." Scripta Materialia. 39・2. 159-165 (1998)
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[Publications] T.Haraguchi,M.Kogachi: "Point defect behavior in B2-type intermetallic compound FeAl." Proceeding on Materials Research Society(1998 Fall Meeting). (印刷中). (1999)
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[Publications] M.Kogachi,T.Haraguchi: "Possibilities of random vacancy distribution and antisite atom recovering in the point defect mechanism in B2-type intermetallics." Intermetallics. 7(印刷中). (1999)