1998 Fiscal Year Annual Research Report
進化的方法によるソフトウェアの自動発展に関する研究
Project/Area Number |
10139211
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長尾 智晴 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10180457)
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Keywords | 進化的計算法 / 遺伝的アルゴリズム / 遺伝的プログラミング / 組み合わせ最適化 / 進化的ソフトウェア |
Research Abstract |
本研究では,発展・進化可能性を有するソフトウェアを,基本構成要素を回路網状あるいは木構造状に組み立てることによって記述・表現し,扱う問題に応じて学習・適応・発展・進化させる方法論を確立することを目的としている.本研究では,基本構成要素として,しきい素子,演算子,関数,プログラムなどを扱い,マルチレベルの研究を遂行している.それぞれの場合について本年度の研究実績の概略を示す. 1. しきい素子: ユニット間の結合を近傍だけに限定した神経回路網であるACNNの進化的最適化法を確立し,時系列処理が必要な迷路探索問題に適用してその有効性を確認した. 2. 演算子(フィルタ): 画像を入出力する多数のフィルタを木構造に組み立てた合成フィルタにより,与えられた原画像から目標画像までの未知の変換を,遺伝的プログラミングの改良手法に基づいて自動的に生成する画期的なソフトウェアを開発した.これにより,従来は対象と目標が限定され,手作業による試行錯誤によってのみ構築されていた画像処理を,事例を与えるだけで自動的に構築することを世界で初めて可能にし,大幅な省力化を実現するとともに画像処理の応用範囲を飛躍的に拡大した. 3. 関数(手続き): マルチエージェントと強化学習の考え方を用いて,将棋における戦略を,エージェント間の対戦結果の事例ベースから自動的に獲得する方法について検討して有効な成果を得た. 4. プログラム: それぞれが別のプログラムに基づいて自律的に判断を行う自律エージェントの集団を用いて人工株式市場を形成し,その株価変動を実際の株価変動の予測に用いる方法論について検討し,有効な成果を得た. これらの研究成果の一部は,これまでに新聞報道,国際会議あるいは国内の学会などにおいて公表しており,いずれも世界的に注目されている.
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[Publications] Akira Hara: "ADG;Automatically Defined Groups for multi-agent cooperation" Proc.of The Second Japan-Australia Joint Workshop on Intelligent and Evolutionary Systems. 91-98 (1998)
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[Publications] Daisuke Hiratsu: "Automatic generation of adequate parameters in ACNN for optimization with Genetic Algorithm" Proc.of the ICIPS'98. 276-280 (1998)
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[Publications] 原 章: "遺伝的アルゴリズムを用いた画像中の任意方向を向いた顔の候補領域の抽出" 日本印刷学会誌. 35・5. 252-259 (1999)
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[Publications] 青木 紳也: "木構造の進化的最適化に基づく画像変換プロセスの自動構築" 電子情報通信学会技術研究報告. PRMU98-120. 59-66 (1998)
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[Publications] 原 章: "マルチエージェントの協調のための最適なチーム構成の自動獲得" 電子情報通信学会技術研究報告. AI98-36. 23-30 (1998)
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[Publications] 福寄 雅洋: "時系列情報を扱うことのできる分類システムの研究" 電子情報通信学会技術研究報告. AI98-38. 39-46 (1998)
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[Publications] 桝永 慎哉: "隣接遺伝子間結合強度を用いたマルチエージェントの行動最適化" 電子情報通信学会技術研究報告. COMP97-107. 1-8 (1998)