2001 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域における環境保護における米国の位置と役割
Project/Area Number |
10201207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 望 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20000185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 喜宣 上智大学, 法学部, 教授 (20214819)
繁枡 算男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90091701)
小宮山 宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80011188)
細野 豊樹 共立女子大学, 国際文化部, 専任講師 (10272478)
佐藤 仁 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50313010)
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Keywords | 持続的開発 / 物質収支 / 集合行為 / 資源 / エネルギー / 希少性 / 資源研究 / 環境政策 |
Research Abstract |
本年度は前年度までの研究成果の蓄積をレビューしかつ発展させ、成果の一般公開(出版)の準備作業を行った。発展させた部分の主な項目は以下のとおり。 1)経済班との合同による研究領域の拡大 経済班(研究代表者:渋谷博史)の環境経済研究グループ(丸山真人、藤堂史明)との共同により、「持続的開発」(Sustainable development)のその後の状況と批判的検討を行い、物質収支の上ではわが国は十分に持続的な生産・貿易構造を達成しているとは言い得ないことを説得的に実証した。 同じく松原(研究代表者)は、「持続的開発」は元来、「環境」と「開発」との妥協の政治性を免れず、少なくとも現実の環境はそれほど改善せず、却って悪化しており、この解決は、政治経済学的には「集合行為」Collective actionの問題であるとの学問的見通しをえた。これは今後の研究指針になるが、なお、実証例のケーススタディを要するとの批判もあった。 2)資源・エネルギー面の検討 資源の「希少性」は、経済学においては、その有限性の表現であるが、実体的希少性はその地理偏在を意味する。アジア環境問題のもう一面は生産手段としての環境、つまり一次的資源エネルギーの利用の問題であり、環境保護とこれらの利用には裏腹の面がある。石油危機以降今日までこの面からの環境問題の検討はやや形式的、表面的であった。これらを(a)現況の把握と再確認、(b)歴史的パースペクティブ(特に戦前日本の南方資源研究)に立った研究の点から今日的検討を加える。 3)アジアへの環境政策の浸透 アジア諸国の環境政策への米国の政策手法や理念の浸透は、グローバル次元で行われているわけではなく、issue-by-issueで行われている。また、米国的手法が手本となることが常に望ましいわけではない。いくつかの開発プログラムにおける環境政策の方法の理念と方法を、ケース・スタディーの形で集約する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 北村 喜宣: "野生動物による農作物被害への対応:米国ウイスコン州の制度と実態"矢崎幸生編『現代先端法学の展開』(信山社). 79-98 (2001)
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[Publications] 繁枡 算男: "心理学における理論と実証性"理論心理学研究. 2. 39-46 (2001)
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[Publications] 繁枡 算男: "意思決定における数理モデル"人工知能学会誌. 16. 249-251 (2001)
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[Publications] 松原 望: "データを集め、判断する"石 弘之編『環境学の技法』東大出版会. 165-214 (2002)
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[Publications] H.Komiyama, others: "Assessment of energy systems by using biomass plantation"Fuel. 80. 707-725 (2001)
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[Publications] 佐藤 仁: "アメリカの高等教育における環境学の制度化と課題"環境社会学会「環境社会学研究」. 7. 99-113 (2001)
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[Publications] 松原 望: "ゲームとしての社会戦略"丸善株式会社. 191 (2001)