1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10203207
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥田 雄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50135670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 宏一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10219496)
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Keywords | 液体3He / 表面張力 / 磁気的相互作用 / フェルミ縮退 / 超流動3He |
Research Abstract |
本年では液体3Heの常流動相における表面張力の測定を以下の2点について行った。 1) 充分フェルミ縮退した低温領域についてその温度変化を詳細に測定し、100mK近傍にわずかな表面張力の極大を観測した。2)液体3Heは強く相関したフェルミ流体であり、その自由表面で磁気的相互作用が表面張力に及ぼす影響を調べるため、磁場による表面張力の変化を測定した。 2) 150mK以下の低温での測定は温度変化は非常に小さい。しかし、100mK付近に表面張力の小さなピークが見られる。表面張力が温度とともに増大する事は極めて異常なことで考えにくい。一般に、表面張力は分子間の相互作用により、密度の2乗に比例する。液体3Heは0.5K以下では温度の上昇とともに密度が増加することが知られており、密度の増加の割合はT=0Kとl00mKの間でDr/r(T=0)〜7×10^<-4>程度である。表面張力のピークは5×10^<-4>程度であるから、この密度変化が表面張力の温度変化に影響している可能性がある。 磁場中での表面張力の測定は、十分フェルミ縮退していると考えられる100,50,30mKの温度において行い、磁場0Tと8Tでの表面張力の差を求めた。磁場により表面張力は減少し、その変化Dsは5×10-2mdyne/cm(変化の割合Ds/sで350ppm)程度であるという結果が得られた。また、測定された温度範囲では、磁場変化の温度依存性は見られなかった。この表面張力の磁場効果として考えられる機構には、自由表面においては、密度がバルクからゼロへと減少するのに伴い、3Heの核帯磁率がバルクより減少していて、磁場中で表面自由エネルギーがバルクより減少し、これが表面張力に反映されている可能性が考えられるが、まだ明らかにはなってはいない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Matsumoto,K.Ichikawa,S.Hasegawa,M.Suzuki and Y.Okuda: "Surface tension of liquid 3He under high magnetic field" J.Low Temp.Phys.113. 567 (1998)