1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10204203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 周司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00183129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 真司 国立極地研究所, 助手 (30270424)
町田 敏暢 国立環境研究所, 主任研究官 (20260185)
中澤 高清 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30108451)
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Keywords | 氷床コア / ドームふじ / メタン / 一酸化二窒素 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
今年度は、主に融解法を用いてドームふじ氷床コアの空気成分の分析を進めた。これまでに得られた結果のいくつかの特徴をまとめる。メタン濃度については、ホロシンやサンガモン間氷期の濃度が600-700ppbvと比較的高く、ウィスコンシン氷期やイリノイ氷期の最低濃度が400-450ppbvと低い値となっている。また、氷期中でも暖候期には比較的高い濃度が現れており、気温変動に対応したきれいな濃度変化が見られている。このようにメタン濃度は気温に応じて敏感に変動し、しかも大気が地球規模で混合する時間が1-2年であることを考えると、異なった氷床コア同志の空気成分の年代比較にも用いることができる。 一酸化二窒素濃度についても氷期に低く間氷期に高いといった基本的な濃度変化が明らかになった。濃度と気温との相関はメタンより低く、さらに氷期や間氷期中でも310ppbvを越すような異常に高い濃度もいくつか見られた。この高濃度は人間活動の影響が顕在化している現在の値よりも高く、原因については今のところ不明である。ただし、未発表ながらボストークコアにもこのような高い濃度を示す箇所があることがフランスの研究者との情報交換から明らかになっており、興味深い現象である。 二酸化炭素濃度については、融解法によって得られた空気試料を分析することにより氷期に200ppmv程度、間氷期に280-300ppmvの濃度が得られ、氷期中でも気温変動に応じた濃度変化も見られた。このような濃度変化は南極域で掘削されたボストークコアから得られた結果と整合している。従来の研究では二酸化炭素濃度測定のために融解法を用いるとコアに含まれる炭酸塩が化学変化して二酸化炭素を生成するため正しい濃度が得られないと言われてきた。しかし、本研究の結果はこの通説を覆すものであり、ドームふじコアは炭酸塩物質が他のコアに比べてきわめて少ないことを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yokouchi,Y.,Nojiri,Y.,Barrie,L.A.,Li,H-J.,Fujinuma,Y.and Aoki,S.: "A strong source of methyl chloride to the atmosphere from tropical coastal land"Nature. 403. 295-298 (2000)
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[Publications] Yokouchi,Y.,Li,H-J.,Machida,T.,Aoki,S.,Akimoto,H.: "Isoprene in the marine boundary layer (Southeast Asian Sea,eastern Indian Ocean,and Southern Ocean)"J.Geophys.Res.. 104. 8067-8076 (1999)
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[Publications] Aoki,S.,Azuma,N.,Fuji,Y.,Satow,K.,Shoji,H.and Watanabe,O.: "Preliminary inveatigation of palaeoclimate signals recorded in the ice core from Dome Fuji station east Dronning Maud Land,Antarctica"Annals of Glaciology. 27. 338-342 (1998)
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[Publications] Wessel,S.and Aoki,S.: "Tropospheric ozone depletion in polar regions. A comparison of observations in the Arctic and Antarctic"Tellus. 50B. 34-50 (1998)
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[Publications] Aoki,S.and Nakazawa,T.: "CO_2, CH_4 and N_2O concentrations and δ^<13>C in CO_2 and CH_4 in the stratosphere over Scandinavia and Japan"Proc.of the 21 International Symp.on Space Technology and Science. II. 1568-1571 (1998)
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[Publications] Saeki,T.,Nakazawa,T.,Tanaka,M. and Higuchi,K.: "Methane emissions deduced from a two-demensional atmospheric transport model and surface concentration data"J.Methorol.Soc.Japan. 76. 307-324 (1998)