2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10204203
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 周司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00183129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 真司 国立極地研究所, 助手 (30270424)
町田 敏暢 国立環境研究所, 主任研究官 (20260185)
中澤 高清 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30108451)
|
Keywords | 氷床コア / 二酸化炭素 / メタン / 一酸化二窒素 / 同位体 |
Research Abstract |
本研究においては、ドームふし氷床コアから空気を抽出し分析することによって、主要な温室効果気体である二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素の過去34万年に及ぶ変動の実態を明らかにし、さらに各気体成分の変動と気候変動との関係を明らかにした。それによれば、二酸化炭素濃度やメタン濃度は、暖候期には高く、寒候期には低くなっており、気温変化に極めて良く対応して変化したことが明らかになった。特に、メタン濃度は氷期・間氷期といった大規模な気候変動や、氷期中の比較的大きな気温変動に対応して変化しているばかりではなく、間氷期においてもヤンガ-ドライアス期やわずかな気候の寒冷化にも敏感に対応して変化していた。このことから、二酸化炭素とメタンが気候変動に正のフィードバック作用を及ぼしていたことが確認された。一方、一酸化二窒素についても氷期に低く間氷期に高いといった基本的な濃度変化が明らかになったが、濃度と気温との相関は比較的低かった。一酸化二窒素濃度が氷期の最寒期には310ppbvを越すような異常に高い値が必ず現れていたことを新たに見出した。このような高濃度は人間活動の影響が顕在化している現在の値よりも高く、氷期に露出した大陸棚での生物活動が関係している可能性が考えられる。また、コアから抽出した試料空気の酸素と窒素の同位体比を測定し、コアの年代決定の有効性およびコアへの大気成分の取り込み過程を検討した。これに関連して、フィルン空気の分析も行っており、その結果をモデルでシュミレートすることにより、空気が氷床に取り込まれる際の大気成分の濃度や同位体比の変化や、コア中の気泡とそれを取り巻く氷の年代差についても評価することができた。その結果、気泡の年代はそれを取り巻く氷の年代より常に若く、間氷期では年代差が約2000年であり、氷期には最大5000年まで拡大することが明らかになった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ishijima,K.,Nakazawa,T.,Sugawara,S.,Aoki and Saeki,T.: "Concentration variations of tropospheric nitrous oxide over Japan"Geophys, Res.Lett.. 28. 171-174 (2001)
-
[Publications] Kawamura,K.,Nakazawa,T.,Machida,T.,Morimoto and S.Aoki: "Varitations of the carbon isotopic ratio in atmospheric CO2 over the last 250 years derived from an Antarctic ice core, H15,"Polar Meteorology and Glaciology. 14. 47-57 (2000)
-
[Publications] Morimoto,S.,Nakazawa,T.,K.Higuchi and S.Aoki: "Latitudinal distribution of atmospheric CO2 sources and sinks inferred by d13C measurements from 1985 to 1991,"J.Geophys.Res.. 105. 24315-24326 (2000)
-
[Publications] Yokouchi,Y.,Nojiri,Y.,Barrie,L.A.,Li,H-J.,Fujinuma,Y.and Aoki,S.: "A strong source of methyl chloride to the atmosphere from tropical coastal land"Nature. 403. 295-298 (2000)
-
[Publications] Aoki,S.,Azuma,N.,Fuji,Y.,Satow,K.,Shoji,H.and Watanabe,O.: "Preliminary inveatigation of palaeoclimate signals recorded in the ice core from Dome Fuji station east Dronning Maud Land, Antarctica"Annals of Glaciology. 27. 338-342 (1998)
-
[Publications] Wessel,S.and Aoki,S.: "Tropospheric ozone depletion in polar regions. A comparison of observations in the Arctic and Antarctic"Tellus. 50B. 34-50 (1998)