1998 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒・蛋白質中分子の電子移動反応とそれに誘起されたプロトン移動反応の理論的研究
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10206210
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
谷村 吉隆 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (20270465)
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Keywords | 2次元ラマン分光 / ブラウン運動 / 不均一広がり |
Research Abstract |
本研究は、プロトン移動反応や電子移動反応の競合と、それら反応に及ぼす溶媒効果を調べる事を目標としている。本年度は、これらの反応過程を調べる前段階として、さまざまな溶媒効果を表す事の出来る新たなモデルを開発し、その効果が2次元ラマン等のスペクトル上でどのように観測されるかについて調べている。今回は、不均一広がりを量子ブラウンモデルに取り入れるため、Q2乗ブラウン運動モデルというのを作り、その解析を行った。 このようなモデルを解くにあたり、新たにこの相互作用に対応した量子フォッカー・プランク方程式を導出した。この方程式は、熱浴との相互作用を高次まで取り込んだ非摂動論的な厳密な方程式であり、媒質系の密度演算子を、高次の熱浴と系の相互作用に対応た階層的要素で表した連立微分方程式になっている。この方程式は、散逸系の量子方程式であり、その熱平衡状態も保証されている。 導出した方程式を数値的に解く事により、ラマン分光に対応するスペクトルを計算した通常のラマン分光は、物理過程の差異に対して鈍く、今回のようなブラウン運動モデルと全く異なるモデルを用いても、その差異を検出する事は難しい。しかしながら、我々の提唱した非共鳴5次ラマン分光は、より高次でより敏感なの3次の相関関数を測定するスキームであり、この差異を明確に示す事が出来る。さらに、ラマンエコーの実験に対応する7次の物理量である4階の相関関数についても計算し、2準位確率過程的モデルを用いて議論されたラマンエコーに対応するピークが、我々のモデルでも現れる事を示した。我々のモデルは、多準位モデルよりもさらに一般的であり、7次もシグナルでは、多準位モデルでは観測されないピーク等も見出している。
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