2000 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒・蛋白質中分子の電子移動反応とそれに誘起されたプロトン移動反応の理論的研究
Project/Area Number |
10206210
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
谷村 吉隆 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (20270465)
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Keywords | 2次元ラマン分光 / ブラウン運動 / 不均一広がり / トンネル現象 / 2次元赤外分光 |
Research Abstract |
本年度は二次元分光法の基盤を作る事を中心に研究を行った。まず、4次のモード・モード結合した2つのブラウン運動モデルを用い、モード・モード結合の機構を解析する基礎理論を導出し、3次の2次元IRや7次の2次元ラマンの信号を計算した。このフーリエ成分のクロスピークを調べる事により、通常の分光では困難な凝縮相中分子のこのようなモード結合の存在を調べられる事をデモンストレートした。次に、配位した波束を初期条件とした高次相関関数を計算する事により、非平衡な初期条件が2次元分光で効率的に検出可能である事を示した。得られた信号は初期値の運動量成分と座標成分が分離されて書け、この事より実験的に得られた信号を、2つの成分を調整する事によりフィットする事が出来れば、その大きさより初期波束の位置のみならず運動量まで決定できる事が示された。これは凝縮系の運動を解析する上では大変有用な結果である。また、散逸場の中におかれた2次元自由回転子の光応答のスペクトルを解析的に計算した。この問題は散逸系の量子力学とも関連した問題であるが、これまでこのような系の解析的な解として、調和振動子系と自由粒子系しか知られていなかったが、この解は3つめの解析解にあたる。解は量子的であり、散逸場がゼロの場合は量子化されたピークが現われ、散逸が多きい時は広がる。また温度効果も取り入れられており、高温でピークが高い波長ヘシフトして行く様も容易に解析可能である。また、既存の確率過程理論などによる古典的な解とも、古典極限で一致している。ここでは自由回転子を扱ったが、ポテンシャルを摂動的に加える事によってポテンシャルの効果も検討可能である。
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[Publications] K.Okumura,B.Bagchi,and Y.Tanimura: "Cage dynamics in the third-order off-resonant response of liquid molecules : a theoretical realization"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 73. 873-884 (2000)
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[Publications] T.Steffen and Y.Tanimura: "The Fifth and Seventh Order 2D Raman spectroscopy for harmonic system with Nonlinear system-bath interactions : Gaussian-Markovian case,"J.Phys.Soc.Jpn. 69. 3115-3132 (2000)
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[Publications] Y.Tanimura and T.Steffen: "The Fifth and Seventh Order 2D Raman spectroscopy for harmonic system with Nonlinear system-bath interactions : Gaussian-Markovian case,"J.Phys.Soc.Jpn. 69. 4095-4106 (2000)