1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経シナプス小胞輸送分子機構-記憶形成の理解に向けて
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10215204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 卓也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40241278)
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Keywords | シナプス小胞輸送 / Rab3 / Rab GDIα / X染色体性非特異的精神遅滞 / けいれん重積 / Rab11 / Rabphilin-11 / 微小管 |
Research Abstract |
私共は、Rab3とDoc2を発見し、これらが神経シナプス小胞輸送の調節分子として働くことを明らかにしてきている。本年度の本研究では、Rab3の活性制御蛋白質Rab GDIの機能解析を中心に進めると共に、Rab3と同様、RabファミリーのメンバーであるRab11の機能解析も新たに開始し、以下の成果を得た。 1.Rab GDIαの機能解析 Rab3の活性制御因子Rab GDIには、Rab GDIαと-βの2個のアイソフォームが存在するが、Rab GDIαは神経に特に多く発現することから、神経特異的な機能を有すると考えられる。実際、最近、ヒトにおいてRab GDIαの遺伝子の変異や欠損が見い出され、それがけいれん重積を伴うX染色体性非特異的精神遅滞の原因のひとつになることが見い出されている。本研究で、私共は、Rab GDIαのノックアウトマウスを作製し、このマウスでは、シナプス小胞輸送の過度の促進により神経細胞の過度の興奮が引き起こされ、けいれん重積を伴うことを明らかにした。したがって、Rab GDIαは、Rab3を不活性型に維持し、Rab3によるシナプス小胞輸送の過度の促進を抑制する作用を有すると考えられた。 2.Rab11-Rabphilin-11系の機能解析 シナプス小胞は、最初、細胞体で産生され、微小管に沿って神経終末に輸送される。このシナプス小胞輸送には、Rab3以外のRabファミリーのメンバーが関与していると考えられる。本研究では、ゴルジ体から細胞膜への小胞輸送に関与することが示唆されているRab11に注目して解析を進めた。まず、Rab11の機能を明らかにする目的で、Rab11の標的蛋白質をblot overlay法にてウシ大脳より精製し、そのcDNAをクローニングして一次構造を決定した。さらに、この標的蛋白質Rabphilin-11が、Rab11とともにゴルジ体およびエンドゾームに局在し、微小管依存性の小胞輸送に関与することを明らかにした。 このように、本年度の研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ達成できた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mammoto, A.: "Rab11BP/Rabphilin-11 - A downstream target of rab11 small G protein implicated in vesicle recycling"J. Biol. Chem.. 274・36. 25517-25524 (1999)
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[Publications] Sakaguchi, G.: "Doc2α is an activity-dependent modulator of excitatory synaptic transmission"Eur. J. Neurosci.. 11・12. 4262-4268 (1999)
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[Publications] Mammoto, A.: "Physical and functional interaction of rabphilin-11 with mammalian sec13 protein. Implication in vesicle trafficking"J. Biol. Chem.. (in press). (2000)
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[Publications] Nagano, F.: "Purification and properties of Rab3 GTPase activating protein"Methods Enzymol.. (in press). (2000)
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[Publications] Shirataki, H.: "Rabphilin-3 : a target molecule for Rab3 small G proteins"Methods Enzymol.. (in press). (2000)
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[Publications] Orita, S.: "Doc2α as a modulator of Ca^<2+>-dependent exocytosis"Methods Enzymol.. (in press). (2000)