2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経シナプス小胞輸送の分子機構-記憶形成の理解に向けて
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10215204
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐々木 卓也 徳島大学, 医学部, 教授 (40241278)
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Keywords | シナプス小胞輸送 / Rab3 / Rab3 GEP / 呼吸不全 / 神経筋接合部 / Rab11 / Rabphilin-11 / mSec13 |
Research Abstract |
私共は、Rab3とその関連蛋白質を発見し、これらが神経シナプス小胞輸送の調節分子として働くことを明らかにしてきている。本年度の本研究では、Rab3の活性制御蛋白質Rab3 GEPの機能解析を中心に進めると共に、Rab3と同様、RabファミリーのメンバーであるRab11とその関連蛋白質の機能解析も行い、以下の成果を得た。 1)Rab3 GEPの機能解析 Rab3の活性化に働くRab3 GEPのノックアウトマウスを作製したところ、このマウスは、出生直後に呼吸不全で死亡した。私共は、京都大学医学部の遠藤先生との共同研究で、横隔神経を電気刺激して横隔筋の筋電図を測定し、このマウスでは横隔筋の収縮がまったく認められないことを見い出した。また、横隔神経終末では、シナプス小胞の減少とアクテイブゾーンの形成不全が認められた。これらの結果から、Rab3 GEPノックアウトマウスでは、少なくとも横隔神経終末からの神経伝達物質放出が抑制され、その結果、横隔筋の収縮が引き起こされないために呼吸不全で死亡すると考えられた。このようにRab3 GEPもRab3同様シナプス伝達に重要な役割を果たしていることが明らかになった。 2)Rab11-Rabphilin-11系の機能解析 Rab11は小胞のリサイクリングを制御するが、神経細胞における機能は明らかになっていない。私共はこれまでにRab11の標的蛋白質Rabphilin-11をラット大脳より単離している。本年度は、Rab11-Rabphilin-11系の作用機構を明らかにする目的で、Rabphilin-11結合蛋白質の単離を試みた。その結果、Rabphilin-11は酵母Sec13pの哺乳動物のカウンターパートmSec13pと直接結合することが明らかとなった。Rabphilin-11が活性型Rab11と結合すると、mSec13pとより強く結合した。また、Rabphilin-11のmSec13p結合ドメインの過剰発現によってRabphilin-11とmSec13pの結合を阻害すると、核周辺部から細胞膜への小胞輸送が阻害された。以上の結果から、Rab11-Rabphilin-11系はmSec13pとの結合を介して小胞輸送を制御していると考えられた。 このように、本年度の研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ達成できた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tanaka,M.: "Role of Rab3 GDP/GTP exchange protein in synaptic vesicle trafficking at the mouse neuromuscular junction."Mol.Biol.Cell. (in press). (2001)
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[Publications] Nagano,F.: "Purification and properties of Rab3 GTPase activating protein."Methods Enzymol.. (in press). (2001)
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[Publications] Shirataki,H.: "Rabphilin-3 : a target molecule for Rab3 small G proteins."Methods Enzymol.. (in press). (2001)
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[Publications] Orita,S.: "Doc2α as a modulator of Ca^<2+>-dependent exocytosis."Methods Enzymol.. (in press). (2001)
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[Publications] Takai,Y.: "Small GTP-binding proteins."Physiol.Rev.. 81. 153-208 (2001)
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[Publications] Mammoto,A.: "Physical and functional interaction of Rabphilin-11 with mammalian Sec13-Implication in vesicle trafficking."J.Biol.Chem.. 275. 13167-13170 (2000)
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[Publications] Ishizaki,H.: "Role of Rab GDP dissociation inhibitor α in regulating plasticity of hippocampal neurotransmission."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 97. 11587-11592 (2000)
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[Publications] Nakanishi,H.: "Methods Mol.Biol."Isolation at regulatory proteins for the Rab3 subfamily GTPases.(in press). (2001)