Research Abstract |
本年度はブイの作成に主眼を注いだ.前年度までに実施した予備実験の成果を多角的に検討し,各要素技術の改善点を整理した.ブイ本体については,長期観測に対する耐候性,電源の確保,等の基礎的な部分と,海面高の変化のうち,特に長周期の変動をとらえうるような特殊な形状,さらにはこれらを両立させ得るような全体のシステムについて検討した.検討結果を踏まえ,ブイ及び関連システムの詳細設計を行い,以下の仕様で津波計の作成を行った. 1) ブイはセンサーと他の部分を一体とせず,センサーブイとサポートブイの2つに分離すること, 2) センサーブイは短周期の波浪に追随せず,長周期の波に感応するように,全長約8m,直径13cmの長いSpur型とすること, 3) サポートブイは陸上高約5.63m,水面高約4.3m,直径約2mの市販のものを使用し,そこに太陽電池,風力発電装置GPS受信機本体及び伝送装置等を搭載すること, 4) 陸上基地用に無線送受信装置,GPS受信機及びデータ収録用パソコンを整備する. なお,センサーブイは大きな波浪に対しても安定して作動するように,サポートブイからは離れて設置する必要がある.このため,サポートブイは3点係留をして横方向の漂流を防ぎ,またセンサーブイは約30m離して1点係留すること,などの工夫を行った.また,長周期波だけでなく短周期波浪も比較のため取得することとし,サポートブイ上にGPSアンテナを設置した.GPS受信機にはTrimble社製4000Ssiを導入した.システムが安定して作動するために無線伝送が有効に機能しなくてはならない.今回は基礎的な実験でもあるので,特小無線を利用して,数百m程度の基線で実験を実施することとした.ブイの敷設に先立ち,油壺観測所において無線の到達度を測定する実験を行い,ブイ敷設位置を確定した.これに引き続きブイを投入して実地実験を実施した.
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