2001 Fiscal Year Annual Research Report
芸術のメディア的戦略に関する総合的研究-表象文化の歴史的機能分析-
Project/Area Number |
10410013
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50292842)
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
一條 麻美子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30213987)
田中 純 東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (10251331)
|
Keywords | メディア / 表象 / コミュニケーション / インタラクティヴィティー / マルチ・メディア / 通信 / 情報 / 芸術 |
Research Abstract |
最終年度である本年度は、これまで芸術のメディア的条件・環境、芸術のメディア性という視点で行われた歴史的研究と、電子メディアとテクノロジーの飛躍的に発達した現代におけるメディアそのもののパラダイム転換やその下での芸術活動の新たな編成、新たなメディア戦略の様相に関する研究を、各分野において結びつけていった。具体的には、各分担者は下記のテーマについてメディア的条件および環境に関する分析を行い、さらに全員により、芸術のメディア的戦略が担ってきた意味とその今後の可能性を、ジャンルの境界を横断した幅広い歴史的な展望のうちに考察した。 1.文学を中心とした言語的メディアにおける情報伝達方法の変遷とその現代的変容についての総合的考察(杉橋・一條・川中子・竹内):中世の伝説・説話の語りや伝承の場を形成するための保存と継承のシステム、あるいは近世における聖書釈義および文学作品の解釈における活字メディアの果たした役割に始まり、ドイツ教養小説成立期から現代文学への移行期にかけて、大量印刷の技術とタイプライターの発明がもたらした影響や、市民社会的共同体形成途上に果たした、文学や文字メディアにおける俗語革命および出版の資本主義と、貨幣等の他のメディアによる情報流通のシステムの相互作用にいたるまでの包括的な展望を検討した。2. 舞台芸術や音楽、建築におけるマルチ・メディア的な実践の諸相と多様な技術的媒体の出現によるその変質についての、芸術ジャンルの相互浸透の現象を通じた検討(石光・長木・岩佐・田中):舞台作品が、身体表現を機軸にして複数の芸術を統括しながら到達したところの、マルチ・メディア的な芸術が達成させた新しい情報伝達手法を歴史的背景として、メディア・アートの領域における、芸術家同士、あるいは技術メディア自体のインタラクティヴな活動がはらむ新たな芸術形態の可能性にいたる展開を、総合的に考察した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 杉橋陽一: "子規の写生俳句とマスメディア"国文学. 7. 24-31 (2001)
-
[Publications] 杉橋陽一: "練達の俳人 沢木欣一"俳句. 2. 146-151 (2002)
-
[Publications] 川中子 義勝: "「ひとつの死、別なる死を喰らいて」-ルター賛美歌の生成について"ドイツ文学. 107. 1-12 (2001)
-
[Publications] 川中子 義勝: "啓示と応答としての「うた」"言語態「創発的言語態」. 2. 215-234 (2001)
-
[Publications] 田中 純: "アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮"青土社. 398 (2001)