1998 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスの状態と心理生物学的ストレス反応:実験的-フィールド研究
Project/Area Number |
10410027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 茂子 久留米大学, 医学部, 講師 (20197700)
山田 茂人 久留米大学, 医学部, 助教授 (20158190)
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Keywords | 心理生物学的ストレス反応 / ストレスの自覚 / メンタルストレス・テスト / メンタルワークロード / 唾液MHPG-SO_4含量 / 唾液免疫グロブリンA抗体産生量 / Raven'sマトリックス課題 / ストレス状態の評価 |
Research Abstract |
本研究では,実験的場面ならびにフィールド場面における心理生物学的ストレス反応を多面的に測定するための方法論開発とこれらの反応の因子構造を明らかにすることを目的としている.とくに今年度は,大学生を対象にメンタルストレス・テストを負荷した時の実験的に引き起こされる主観的なストレスの自覚を評価することを試みた. その結果,Raven'sマトリックス課題や線分長判断(Line length judgement)課題などのメンタルストレス・テストを負荷した時,課題への集中の低下,不快なストレス,懸念といった3つの心理的ストレス次元から説明できることが明らかとなった.すなわち,第1の課題への集中因子は,エネルギーと意欲の亢進もしくは減退,無関心とか疲労など課題への注意力の増大もしくは低下を反映したもである.第2の不快なストレス因子は,否定的な気分と認知を反映したものである.第3の懸念因子は,否定的な自己認知と認知的に妨害的な侵入思考などの心配や気がかりを反映したものである.また,実験的に誘発されたこれら心理的ストレス反応の各成分とメンタルワークロード(作業負担)の自覚度との関連性については,精神的負担がエネルギー覚醒と緊張覚醒,動機づけ,注意集中,課題関連妨害思考の増加と正の相関を示すこと示すことが示された. 今後,これら心理的ストレス反応のプロフィールがメンタルストレス・テストの性質(たとえば,強度や持続時間,難易度,要求される質的内容など)によって異なってくるのかどうか,ならびに心臓血管系反応や精神神経免疫内分泌系反応とどのような関連性があるのかを明らかにすることが残された課題と云える.
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 津田 彰ほか: "生活ストレスが心理生物学的反応性と健康関連行動に及ぼす影響" 平成7-9年度文部省科学研究費補助金基盤研究(B)(2)報告書. 1-102 (1998)
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[Publications] 津田 彰: "日本人の健康志向とストレス対策" Tri-view(東急総合研究所紀要). 12. 10-17 (1998)
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[Publications] 津田 彰: "ストレス研究の現状と課題" TASCマンスリー(たばこ総合研究センター紀要). 273. 4-10 (1998)
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[Publications] 津田 彰: "ストレスの実験的-フィールド研究:ストレス-コーピング病気罹患性モデルの適用" 心理学ワールド. 1. 5-10 (1998)
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[Publications] 津田 彰ほか: "青年期学生のライフスタイルと健康意識および健康状態" 久留米大学保健体育センター研究紀要. 6. 15-20 (1998)
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[Publications] Hirao,M.et al.: "Recovery from activity-stress ulcer by ad lib-feeding in rats." Physiology & Behavior. 63. 34-41 (1998)
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[Publications] Yamada,S.et al.: "Saliva level of free-3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol in psychiatric outpatients with anxiety." International Clinical Psychopharmacology. 13. 213-217 (1998)
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[Publications] 西川 正ほか: "外来精神分裂病者におけるhaloperidol decanoateの使用状況" 精神治療学. 13. 1019-1024 (1998)
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[Publications] Matthews,G.et al.: "Individual differences in driver stress vulnerability in a Japanese samp" Ergonomics. in press.
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[Publications] 古賀照邦ほか: "佐賀県伊万里市における老年期痴呆の疫学的研究 -かなひろいテストと脳の画像所見-" 医学のあゆみ. 187. 748-749 (1998)
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[Publications] Ymamada,S.et al.: "Antagonistic effects of β-phenyletyletylamine on quinpirole-and(-)-sulpiride-induced changes in evoked dopamine release from rat striatal slices." European Journal of Pharmacology. 343. 145-150 (1998)
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[Publications] Yamada,S.et al.: "Dopamine autoreceptor in rat nucleus accumbens modulate prepulse inhibition of acoustic startle." Pharmacology Biochemistry & Behavior. 60. 803-808 (1998)
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[Publications] Matsui,M. et al.: "Measurement and pharmacological manipulation of extracellular GABA levels in the nucleus accumbens the rat." Biogenic Amines. 14. 163-176 (1998)
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[Publications] 山田茂人: "パーキンソン病患者髄液中β-フェニルエチラミンの測定." Progress in Medicine. 18. 1421-1424 (1998)
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[Publications] 山田茂人ほか: "Phencyclidineによるprepules inhibitionの抑制に対する抗精神病薬の拮抗作用." 精神薬療基金研究年報. 29. 58-63 (1998)
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[Publications] 中村 純ほか: "せん妄の病態と治療-アクチグラフと血漿中MHPG,5-HIAA,HVAの経時的な検討." 精神薬療基金研究年報. 29. 258-263 (1998)
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[Publications] Tsuda,A.et al.: "交通安全と健康(分担執筆)" 杏林書房, 156-160 (1998)
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[Publications] 津田茂子: "クリティカルシンキング(分担訳)" 医学書院, 92-100,274-286 (1998)