2000 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスの状態と心理生物学的ストレス反応:実験的-フィールド研究
Project/Area Number |
10410027
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 茂子 久留米大学, 医学部, 講師 (20197700)
山田 茂人 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (20158190)
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Keywords | 実験的-フィールド研究 / 心理生物学的ストレス反応 / メンタルストレステスト / 心臓血管系反応 / 精神神経免疫反応 / 日常生活ストレス / 性格特性 / 健康行動 |
Research Abstract |
本研究は,ストレス-コーピング病気罹患性モデル(Steptoe,1991)を理論的枠組みとして,実験的-フィールド研究の方法論に基づいて日常場面でのストレス状態と実験室場面でのメンタルストレステストによる心理生物学的ストレス反応との関連性について解明することを目的としたものである.本年度は,心理生物学的反応性と以下の項目との関連性について検討した. 1 心理生物学的反応性 脈拍,血圧をトノメトリ法,唾液free-MHPGをGC-MS法,唾液s-IgAをネフェロメトリー法,主観的ストレスをストレス状態質問紙にて測定した.脈拍,血圧,唾液free-MHPG及び唾液s-IgAは,ストレス負荷中有意に上昇し,負荷終了時に基準値に回復した.また,主観的ストレス反応の自覚も認められた. 2 日常生活ストレスとの関連性 日常生活ストレスの自覚の高い被験者は低い被験者に比較して,メンタルストレステストによる心理生物学的反応性が著明であった.日常生活場面で経験しているストレスが実験室場面でのストレス反応に影響していることが示唆される. 3 性格特性との関連性 神経質傾向の高い被験者は低い被験者に比較して,唾液free-MHPGがストレス負荷前に高値を示し,ストレス負荷中は低値を示した.神経質傾向の高いヒトは,課題前に不安や緊張が高まり,課題中は課題に集中して取り組んでいることが示唆される. 4 健康関連行動の実行率との関連性 望ましい健康行動を実行している被験者は実行していない被験者に比較して,ネガティブな気分や自覚が抑制され,動機づけや課題の達成度の自覚が亢進していた.望ましい健康行動を実行しているヒトのメンタルストレステストにおける心理生物学的反応性は,課題遂行に進んでいることが示唆される. 今回の結果から,日常生活場面でのストレスの状態が実験室場面での心理生物学的ストレス反応と密接に関与していることが示唆される.
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 津田彰 ら: "ストレスの状態と特性"現代のエスプリ. 392. 106-117 (2000)
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[Publications] 津田彰,津田茂子: "行動医学への展開"ヘルスカウンセリング. 2. 66-73 (2000)
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[Publications] 津田彰: "英国の現状"子どもの健康科学. 1,1. 10-17 (2000)
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[Publications] 津田彰 ら: "行動医学の展開・実践ストレスマネジメント"ヘルスカウンセリング. 3,5. 90-95 (2000)
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[Publications] 津田茂子,津田彰: "行動医学の実際"ヘルスカウンセリング. 3,3. 82-87 (2000)
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[Publications] 木谷有里 ら: "青斑核ニューロンのMethyl phenidate誘起分極電位の性質"久留米医学学会雑誌. 63. 140-150 (2000)
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[Publications] 矢島潤平 ら: "コントロール可能性と神経内分泌系"生理心理と精神生理学. 18. 71-72 (2000)
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[Publications] Nanakorn,S. et al.: "Gender differences in health-related practices among university students in northeast Thailand"Asia-Pacific Journal of Public Health. 11,1. 10-15 (1999)
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[Publications] 津田彰,津田茂子: "教育現場のための健康教育"子どもの健康科学. 2,1(印刷中).
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[Publications] Yajima,J. et al.: "Determination of saliva free-3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol in normal volunteers using gas chromatography mass spectrometry"Biogenic Amines. (in press).
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[Publications] 津田彰 ら: "日本と英国の大学生における健康行動と健康知識"健康支援. (印刷中).
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[Publications] Yamada,S., et al.: "Saliva level of free 3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol (MHPG) as a biological index of anxiety disorders."Psychiatry Research. 93. 217-223 (2000)
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[Publications] Satoi,M., et al.: "Decreased cerebrospinal fluid levels of β-phenylethylamine in patients with rett syndrome."Annals of Neurology. 47(6). 801-3 (2000)
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[Publications] Yamada,S., et al.: "Effects of σ1 receptor ligand, MS-377 on apomorphine-or phencyclidine-induced disruption of prepulse inhibition of acoustic startle inrats."European Journal of Pharmacology. 402. 251-254 (2000)
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[Publications] 山田茂人: "精神分裂病の情報処理障害モデルとしてのprepulse inhibitionの減弱"日本神経精神薬理雑誌. 20. 131-139 (2000)
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[Publications] 津田彰: "学習性無力感"二弊社. 385 (2000)
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[Publications] 津田彰 ら: "ストレスの事典"朝倉書店(印刷中).