1999 Fiscal Year Annual Research Report
地方における新たな社会関係形成の文法の解明に向けて 新潟県巻町をめぐる市民運動と住民意識の研究
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10410044
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 守 新潟大学, 人文学部, 教授 (30232474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文学部, 助教授 (00251687)
松井 克浩 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50238929)
渡邊 登 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50250395)
大石 裕 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (40213623)
中村 潔 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60217841)
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Keywords | 巻町 / 反原発運動 / 住民投票 / 自己決定権 |
Research Abstract |
今年度は、3つの課題を設定して研究に取り組んできた。 1, 1999年4月に行われた巻町町議会選挙の結果を踏まえて、住民投票賛成派の各市民団体の取り組みと政策について聞き取り調査を行った。町民の原発問題に対する意識の変化の有無、原発建設推進派各団体の動向と町民の町政に対する評価など、自営層を中心とした聞き取りであった。 2, 巻町の住民運動の特徴を明らかにすべく、原発建設という同様の問題を抱えながら長年町民運動を続けてきた高知県窪川町、さらに吉野川第10河口堰の問題で住民投票を求める市民運動が盛り上がりをみせた徳島市、この2地点を対象地として関係者の聞き取り調査を行った。 3, 2000年1月に実施された巻町の町長選挙の結果を踏まえて、有権者1200名を対象としたアンケート調査を実施した。この調査は、この間の町政の評価、町長選の投票行動を中心にしつつ、町民のジェンダー意識、地域活動への参加、近所・親戚・職場での人間関係など幅広い質問項目を設定し、「地方における新たな社会的関係形成の萌芽」を析出することを目指したものであり、1998年に実施した調査に続く第2次に当たるものである。 以上の調査研究を通じて、地方の地域住民に広く見られるようになった自己決定の意識の高まりの背景にある問題、それぞれの運動スタイルや理念と価値観の共通性、巻町固有の社会的関係性が浮かび上がりつつある。研究の最終年度となる来年度は、1月に実施した調査の詳細なデータ分析を行うとともに、窪川町と徳島市の再調査を行い、報告書を完成する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 渡辺 登: "地域社会における意志決定手段としての住民投票施行の背景"社会学年報. 28号. 1-30 (1999)
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[Publications] 渡辺 登: "新たな地域社会形成主体の胎動(4)"社会運動. 233号. 27-45 (1999)
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[Publications] 渡辺 登: "新たな地域社会形成主体の胎動(最終回)"社会運動. 237号. 32-42 (1999)