2001 Fiscal Year Annual Research Report
変動する社会における刑罰の実態分析とその改革のマスタープラン
Project/Area Number |
10420010
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
後藤 昭 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00143256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 聡 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (60281268)
石塚 伸一 龍谷大学, 法学部, 教授 (90201318)
村井 敏邦 龍谷大学, 法学部, 教授 (70017581)
葛野 尋之 立命館大学, 法学部, 教授 (90221928)
水谷 規男 愛知学院大学, 法学部, 教授 (20211584)
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Keywords | 監獄 / 拘禁者 / 刑務所 / 受刑者 / 刑罰 / 自由刑 / 更正保護 / コミュニティ・プリズン |
Research Abstract |
本年度は、最終年次として昨年度までの研究成果の総括を中心として行った。 国内の刑事施設等についての全国規模での実態調査並びにハード面・ソフト面に関する統計的調査については、統一フォームにより整備してきた調査票を分析した。その結果、現状の刑事施設の抱える最大の問題点として過剰収容があり、居室の定員を超える受刑者が一部屋に収容されるなどの事態が生じていること、それにより施設運営も保安的観点に重点がおかれ、処遇の面がおろそかにされるおそれがある等の状況が窺われた。 この作業と並行して、近年の刑務所に関わるNGO活動の活発化や国際人権法の動向などを踏まえて、『刑事拘禁法要綱案』の改訂を行った。主な改訂のポイントは、施設内での処遇に市民が協力するという形態を承認したことと、施設の処遇に対する第三者機関としての市民の監視を充実させたことにある。これは先に指摘した、刑事施設の抱える問題点に対する一つの回答でもあり、施設だけで処遇を担うのではなく、一般杜会と連携しながら、また一般社会に対しアカウンタビリティを果たしながら施設を運営していくべきであるとの方向性を示したものである。 更にこの改訂案の実現可能性を探るために、この案に基づき一定の被収容者を想定したシミュレーションを作成した。これはプレゼンテーション用ソフトを用いて作成した画期的なものである。 以上の成果については、3月9日に実施する公開シンポジウムで発表した。 その他、日本の刑罰システムに関するデータベース、監獄改革に関する年表については、より一層の充実を図った。この成果はホームページ上で公開することを目指している。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] 石塚 伸一: "刑事政策におけるパラダイム革命(再論)-国家的パラダイムから、市民的パラダイムヘ-"龍谷法学. 34巻2号. 187-215 (2001)
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[Publications] 石塚 伸一: "日本の無頼な10代"JAPAN'S TOUGH TEENS""学術の動向. 6巻9号. 30-34 (2001)
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[Publications] 石塚 伸一: "精神科医療と保安処分:ドイツの場合と日本の場合"法学セミナー. 563号. 36-40 (2001)
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[Publications] 石塚 伸一: "司法制度改革と犯罪者の処遇"法律時報増刊・シリーズ司法制度改革III. 181-184 (2001)
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[Publications] 石塚 伸一: "触法精神障害者の処遇"法律時報. 77巻2号. 36-42 (2002)
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[Publications] 三島 聡: "性表現に対する刑事規制"刑法雑誌. 41巻2号. 129-144 (2002)
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[Publications] 三島 聡: "性表現の刑事規制(5)"法学雑誌. 48巻2号. 441-478 (2001)
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[Publications] 三島 聡: "性表現の刑事規制(6)"法学雑誌. 48巻3号. 707-730 (2001)
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[Publications] 水谷 規男: "未決拘禁者に対する国際人権法の影響-二〇世紀末フランスの立法改革を中心に-"愛知學院大学論叢法學研究. 42巻3・4号. 1-38 (2001)
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[Publications] 葛野 尋之: "少年審判の非公開と少年事件報道"刑法雑誌. 40巻3号. 361-372 (2001)
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[Publications] 葛野 尋之: "「国民の司法参加」をめぐる審議"法律時報. 73巻6号. 109-111 (2001)
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[Publications] 葛野 尋之: "少年法の展望-少年法における規範意識と責任-"犯罪と刑罰. 15号. 133-172 (2002)
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[Publications] 葛野 尋之: "「改正」少年法と少年事件弁護の課題"季刊刑事弁護. 29号. 26-30 (2002)
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[Publications] 山口 直也: "アメリカにおける修復的司法の実際"教育. 664号. 87-94 (2001)
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[Publications] 山口 直也: "子どもの成長発達権と少年法61条の意義"法学論集(山梨学院大学). 48号. 75-110 (2001)
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[Publications] 村井 敏邦: "無罪推定原則の意義『光藤景皎先生古稀祝賀論文集』所収"成文堂. 27 (2001)
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[Publications] 村井 敏邦: "刑事法律扶助の課題『日本の法律扶助』所収"法律扶助協会. 13 (2002)
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[Publications] 三島 聡: "コンメンタール盗聴法『盗聴法の総合的研究』所収"日本評論社. 43 (2001)
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[Publications] 葛野 尋之: "刑事手続への実効的参加と少年の公開刑事裁判-バルジャー事件裁判に関するヨーロッパ人権裁判所判決の意義-"成文堂. 34 (2001)