1998 Fiscal Year Annual Research Report
5f電子系における局所非フェルミ液体異常とサイト間効果の研究
Project/Area Number |
10440096
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
網塚 浩 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40212576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261279)
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Keywords | 局所非フェルミ液体 / 近藤効果 / 多チャンネル近藤効果 / ウラン希薄合金 / 非クラマース電子系 / 比熱 / 電気抵抗 |
Research Abstract |
本研究は、磁性と超伝導が共存する重い電子系の典型物質URu_2Si_2に着目し、(1)ウラン希釈極限における局所非フェルミ液体異常の普遍的特性の探究、(2)ウラン希釈極限から周期系に至る系統的研究によるサイト間効果の解明、および、(3)これら正常状態の情報に基づくURu_2Si_2の磁性・超伝導の発現機構の解明、を目的とする。 本年度は、URu_2Si_2と同型の母金属、YRu_2Si_2および、LaRU_2Si_2中にUを少量固溶した系の単結晶を作成し、0.1K-300Kにおける磁化率・電気抵抗測定、および0.36K-100Kにおける比熱測定を行い、濃度依存性の詳しい測定から単一サイトの情報を抽出した。その結果、これまでの研究対象(Th,U)Ru_2Si_2に加え、YおよびLa希釈系においても、局所5f電子状態の1軸異方性、および抵抗の降温に伴う減少等の低温異常がこの結晶型に普遍的に存在することがわかった。これらの振る舞いは金属中磁性イオンに対する既存の理論では説明が困難な局所異常である。目的の(1)はほぼ達成され、研究成果は論文2編、学会発表2件によって公表した。また、一連の結果は次年度の強相関電子系国際会議において招待講演として公表する予定である。また(2)に対しては(Y,U)Ru_2Si_2、20組成の単結晶作成を計画している。既に8組成の単結晶化が終了し、基礎物性測定が進行中である。周期系の未解明の秩序が、ウラン20%程度の低濃度領域まで残存する異常な振る舞いが観測されており、この系のサイト間効果が局在磁性の性格をもつ可能性が示唆された。確論に至るには更に注意深い研究が必要であるが、今後の研究に一つの焦点となる情報が得られた。
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[Publications] H.Amitsuka: "Magnetic Properties of Dilute Uranium Alloys Y_<1-x>U_xRu_2Si_2(x【less than or equal】0.07)" JJAP Series. 11. 145-147 (1999)
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[Publications] H.Amitsuka: "Anomalous Transport Properties of Dilute Uranium Alloys R_<1-x>U_xRu_2Si_2(R=Th,Y;x【less than or equal】0.07)" Physica B. (出版予定).