1998 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス金属中を高速で伝播するき裂の原子構造論的研究
Project/Area Number |
10450048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30029095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾方 成信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20273584)
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50252606)
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Keywords | アモルファス金属 / 高速き裂伝播 / 分子動力学解析 / モードI型き裂 / 破壊強度 / 衝撃荷重 |
Research Abstract |
原子レベル構造の動的変化の詳細を解析できる分子動力学法を用いて、α-鉄をモデル材料として、10万個オーダーの原子系よりなるモデルアモルファス金属を作成し、衝撃引張り荷重の下でモードI型き裂伝播特性について検討を加えた。得られた主な結果はつぎの通りである。 1. 融解-急冷プロセスのMDシミュレーションによって得られた構造は、動径分布関数の形、(13原子から成る20面体状のクラスターを多く含む)局所的な原子構造の形態、及び弾性係数をはじめとするバルク特性等の評価値より判断して、典型的なアモルファス構造を持つと判断された。 2. 静的なき裂伝播解析により得られた臨界応力拡大係数はK_<Icr>〜1.2MPa√<m>である。 3. K_<Icr>(〜1.2MPa√<m>)を基準として、一定速度でマクロ的K_I値を増大させる引張り荷重のもとでのき裂の開口、伝播特性は、 (a) 荷重端部から伝播する(円筒状の)膨張弾性波がき裂先端に到達すると同時に、き裂は伝播・開口を開始する。 (b) 進展量(DA)とき裂開口量(CTOD)の比はほぼ一定値を保ち、DA/CTOD〜0.85である。一方、準静的な状態では、この比は負荷の増加と共に増大する。 (c) き裂伝播速度は、次第に加速し一定時間を経ると減速する。減速過程では、き裂先端にボイドを発生・成長しそれがき裂に吸収されるプロセスを伴う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中谷、北川、中谷: "分子動力学法による単元系アモルファスの力学特性評価-原子構造変化が誘発する弾性定数および強度の低下の検討-" 材料. 46・3. 244-249 (1997)
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[Publications] K.Nakatani,A.Nakatani,K.Kitagawa: "Molecular Dynamics Study on Fracture Mechanism of Fe-Amorphous Metal Mesoscopic Dynamics of Fracture" Advances in Materials Research. 1. 88-98 (1998)