1998 Fiscal Year Annual Research Report
高安定汎用形軸トルクセンサ実現のためのセルフチューニング機構の基礎検討
Project/Area Number |
10450160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹田 一郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20117120)
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Keywords | トルクセンサ / 磁気ひずみ効果 / ゼロ点変動 / 温度安定性 / セルフチューニング / 磁気ヘッド |
Research Abstract |
本研究のトルクセンサは、JIS鋼軸の持つ磁気ひずみ効果を利用してトルクを非接触検出するもので、安価な鋼軸を使用できる。この動作原理は、軸表面のトルク印加による透磁率の変化を直交8の字型検出ヘッドで非接触に検出するものであるが、これを実用に供するためには、軸の回転にともなうトルクセンサのゼロ点変動の抑制と、温度安定性を高める必要があった。 本年度に実施したのは下記である。 (1) ゼロ点変動と励磁電流 軸径25mmのSNCM447高周波焼き入れ軸(焼き入れ深さ1.7mm)を対象として、励磁周波数100kHzにおいて、励磁電流依存性を調べた。検出ヘッドと軸間空隙を1.3mmとして、0.1〜1.0Aの励磁電流に対し、0.3A付近でゼロ点変動が最小(400Nmのフルスケールに対し、0.52%〜0.65%の変動)となることを明らかにした。 (2) ゼロ点変動とブリッジバランス 本研究のトルクセンサには、その構造上、軸表面磁気特性の不均一性に起因する不可避的ゼロ点変動(本質的ゼロ点変動)が存在し、それはブリッジ回路のアンバランスによって更に数倍大きくなる問題があった。これに対し、軸の表面で局所的に決定される検出ヘッドのインダクタンスおよび等価直列抵抗を、軸全周で測定して数値系列として求め、これを入力とすれば、ゼロ点変動が推定可能な計算モデル、および入出力関係式を完成させた。推定値と実験値が良く一致することをブリッジ回路の抵抗を変化させ確認した。これによって、チューニングの最終状態を決定できることになった。 (3) 検出ヘッドの温度特性 磁気回路を用いて、検出ヘッドのフェライト材や軸の透磁率の温度特性が検出ヘッドのインピーダンスにどのように変化をもたらすかを近似的に予測する式を導出した。 (4) 高速軸回転装置の製作 軸に誘導される渦電流のゼロ点変動に及ぼす影響を調べるためのに、軸径25mmの鋼軸を無負荷状態で6000rpmまで回転させる装置(防護カバー安全スイッチ付き)を製作した。
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