1999 Fiscal Year Annual Research Report
窒素・リン負荷削減と下水処理水の有効活用のための干潟ビオトープの創出手法開発
Project/Area Number |
10450193
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 主鉉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20302193)
山田 一裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30250723)
須藤 隆一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70109916)
徐 開欽 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 主任研究員 (20250722)
稲森 悠平 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (10142093)
|
Keywords | 干潟 / 窒素 / リン / 下水処理水 / 底生動物 |
Research Abstract |
干潟は、多様な生物が活発に活動する場であり、物質循環においては底生生物の影響が大きいとされている。干潟全体の物質循環を捉える手段として生態系モデルが開発され、多くの場所で適用されてきた。しかし、これらのモデルの精度を高め、現象を明確に把握するためには現場レベルでのデータとモデル式との適合性を評価していく必要がある。そこで本研究では、干潟の物理的・生物的環境因子の制御が可能なモデルプラントによる実験を行い、そのデータをもとに、干潟に生息する底生動物の栄養塩類や有機物等物質循環に果たす役割を評価し、生態系モデルの改善点について考察を行った。 干潟モデルプラントによる実験系の条件設定は遮光系、非遮光系、非遮光系で堆積物食性ベントスであるゴカイを加えた系、非遮光系で懸濁物食性ベントスである二枚貝のイソシジミを加えた系の4系である。干潟モデルプラント装置での実験における条件設定をふまえ、既往の研究を参考に干潟生態系モデルを構築した。 その結果、堆積物食性ベントスの系における特徴として堆積物食性ベントスのデトリタスからの摂食が大きいこと、堆積物食性ベントスはデトリタスや付着藻類などの有機物を摂食することで底質中の栄養塩循環を促進する役割を持つとともに有機汚濁化を防ぐ役割を持つこと、バイオターベーションの作用である脱窒・無機化の促進について適切にモデル化する必要のあることが明らかになった。 また、懸濁物食性ベントスが優占する系では植物プランクトンの現存量が少なく、懸濁物食性ベントスは植物プランクトンを多く摂食し、植物プランクトンを無機化して栄養塩を再び水中へと回帰させること、植物プランクトンは回帰した栄養塩によって再び光合成による生産活動を行い、この系においては懸濁物食者、無機態栄養塩、植物プランクトン(有機物)の間での栄養塩循環が活発であること、植物プランクトンが直接的に沈降・枯死等を通して底質のデトリタスとなる量は少なく、多くは懸濁物食性ベントスの排泄、死亡になるという経路を通ってデトリタスになり、懸濁物食性ベントス優占系においては他系とデトリタス生成過程が違うため有機物の分解効率が高められることがわかった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 塩田勉,山田一裕,千葉信男,須藤隆一: "ヨシ植栽水路における充填担体の空隙率が水路の窒素・リン除去能力に及ぼす影響"水環境学会誌. 22・6. 505-510 (1999)
-
[Publications] 佐々木久雄,西村修,須藤隆一: "水平透明度による水質のきれいさの評価"水環境学会誌. 22・7. 581-586 (1999)
-
[Publications] O.Nishimura,T.Sakamaki,K.Kimura,Y.Inamori,R.Sudo: "Influence of Bivalve on Nutrients Cycle in Coastal Area"Proceedings of MEADCOAST99 - EMECS99 Joint Conference. 283-292 (1999)
-
[Publications] K.kimura,S.Suzuki,Y.Inamori,O.Nishimura,R.Sudo: "Restoration of a Coastal Ecosystem-the KASAI Artificial Tidal Flats"Proceedings of MEADCOAST99 - EMECS99 Joint Conference. 683-694 (1999)
-
[Publications] T.Sakamaki,J.H.Kim,N.Chiba,O.Nishimura,R.Sudo: "Behavior of Nitrogen of Tidal Flat in a Tide Time Scale"Proceedings of MEADCOAST99 - EMECS99 Joint Conference. 261-268 (1999)