1999 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ熱源を用いた複合ワイヤーからのTiAl金属間化合物の創成
Project/Area Number |
10450275
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西田 稔 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60036374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水口 勝志 愛媛大学, 工学部, 助手 (70108405)
荒木 孝雄 愛媛大学, 工学部, 教授 (70029312)
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Keywords | 複合ワイヤー / 燃焼合成反応 / CO_2レーザ / TiNi金属間化合物 / 溶射 / 減圧チャンバー / 気孔率の低減 / 耐摩耗性の向上 |
Research Abstract |
平成11年度は、TiAl皮膜の気孔率、耐食および耐摩耗性に検討する予定にしていたが、溶融複合ワイヤーからのレーザ光反射によりZnSeレンズの損傷が激しく中止し、TiAlと同様に燃焼合成反応が起こるTiNi金属間化合物について、皮膜の耐摩耗性に及ぼす雰囲気制御の影響について検討した。大気中で作製した皮膜の気孔率は、溶射距離を100mmから200mmに増加するにしたがい7%から5%に低下するとともに、皮膜中の酸素量も7%から5%に低下した。したがって、大気中で溶射において、最適条件は、溶射距離を200mmと長くする必要があった。なお、溶射距離を200mm以上にすると溶射粒子が飛翔中に凝固して積層しなかった。しかし、最適溶射条件においても酸素が5%含んだ皮膜であり、溶射粒子間にはチタンの酸化物が認められた。研究補助金で購入した雰囲気制御チャンバー内で皮膜作製を行うと、皮膜の気孔率は溶射距離に関係なく5%であり、酸素量も0.3%とワイヤの酸素量まで低下し、チャンバーの有効性が確かめられた。粒子間の結合力を荒田式摩耗試験で評価すると、チャンバー内で作製した皮膜の粒子間結合力は、大気中より20%以上向上した。これは粒子間に生成したチタン酸化物が積層粒子の結合を阻害したものである。すべり摩耗性を大越式摩耗試験で評価すると、大気中で作製した皮膜の耐磨耗性は、基材であるアルミニウムの20倍程度向上するが、摩耗形態が研削摩耗以外に粒子間の脱落による剥離摩耗も存在した。チャンバー内で作製した皮膜の耐摩耗性は、粒子間の結合力を高め脱落摩耗が著しく減少した結果、アルミニウムの40倍にまで増加した。これらの実験結果より、使用用途に応じて、大気溶射およびチャンバー溶射が選択できることが明らかとなった。
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