1999 Fiscal Year Annual Research Report
複素環化合物の開環-環化重合による新規糖鎖の合成と生成糖鎖の機能性
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10450348
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
覚知 豊次 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (80113538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敏文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80291235)
横田 和明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30001217)
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Keywords | イオノフォア / D-マンニトール / D-アラビニトール / 液膜 / 光学分割 / アドニトール / キシリトールユニット |
Research Abstract |
天然には、モネンシンに代表されるような鎖状のイオノフォアが存在し、これらは生体膜を介して特定のイオンを輸送している。本研究ではこうした天然イオノフォアを合成ポリマーで実現するために、六炭糖から誘導した1,2:5,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール(1)のカチオン環化重合により3,4位の置換基の異なる(1→6)-2,5-アンヒドロ-D-グルシトール(2)、五炭糖から誘導した1,2:4,5-ジアンヒドロ-D-アラビニトール(3)から得られるポリマー(4)を合成した。これらのポリマーをホストに用いた液膜による光学分割実験はU字管を用い、α相にアミノ酸塩を含む塩酸水溶液を入れ、ポリマーのクロロフォルム溶液を液膜として、β相に輸送されたアミノ酸塩の光学純度を光学分割HPLCによって測定することにより行った。ポリマー2と4をホストに、フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩をゲストに用いた液膜輸送実験の結果、ポリマー2をホストに用いた場合、3,4位の置換基にかかわらず、いずれもL体を優先的に輸送した。一方、ポリマー4をホストに用いた場合は、D体を優先的に輸送した。この結果から、ポリマーの不斉認識能はポリマーの主鎖構造に依存することが確認された。ポリマー2は2,5-アンヒドロ-D-グルシトールユニットを、ポリマー4は1,4-アンヒドロアドニトールユニットと1,4-アンヒドロキシリトールユニットを繰り返し単位とする構造であり、この主鎖骨格の違いが不斉認識能の差として現れたものと考えられる。また、ポリマー2は3,4位の置換基の炭素数がメチル基<エチル基<アリル基<ペンチル基と増えるにしたがい、光学純度も11.9%、15.9%、17.2%、22.0%と増加した。しかし、炭素数10個のデシル基になると光学純度は減少した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T. Kakuchi: "Ring-opening and Ring-forming Polymerization of 1,2:5,6:9,10-Triepoxydecane Leading to Highly Regioselective Polymer Consisting of Octahydrobifuranyl Unit"Macromolecules. 33. 246-247 (2000)
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[Publications] M. Kamada: "Regio- and Stereoselective Cyclopolymerization of 1,2:5,6-Dianhydro-allitol and 1,2:5,6-Dianhydro-galactitol Leading to A Novel Carbohydrate Polymer of (2→6)-1,5-anhydro-DL-galactitol"Macromolecules. 32. 5755-5759 (1999)
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[Publications] T. Satoh: "Regio- and Stereoselective Cyclopolymerization of 1,2:4,5-Dianhydro-3-0-methyl-xylitol Leading to A Novel Polycarbohydrate of (2→5)-1,4-Anhydro-3-0-methyl-pentitol"Macromolecular Rapid Communication. 20. 55-58 (1999)