1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規エナミノシクロヘキサンジオン系化合物の植物白化機構の解析
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10460051
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 茂男 理化学研究所, 植物機能研究室, 主任研究員 (50011987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 敬銘 理化学研究所, 植物機能研究室, 基礎科学特別研究員 (20300858)
嶋田 幸久 理化学研究所, 植物機能研究室, 基礎科学特別研究員 (30300875)
中野 雄司 理化学研究所, 植物機能研究室, 研究員 (30281653)
浅見 忠男 理化学研究所, 植物機能研究室, 先任研究員 (90231901)
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Keywords | プロトポルフィリノーゲン酸化酵素 / クロロフィル生合成 / 光増感作用 / エナミノシクロヘキサンジオン系化合物 / 白化作用 / 除草剤 / 葉緑体 / 抵抗性 |
Research Abstract |
申請者らが見いだした光要求型白化作用を有するエナミノシクロヘキサンジオン系化合物(ECD)の作用機作を明らかにすることと、同じく申請者らが見いだしたプロトックス阻害剤に対して抵抗性を有するタバコ培養細胞の抵抗性発現機構を明らかにすることを試みた。その結果ECD処理した細胞中には10位に水酸基が置換した光増感性クロロフィルが蓄積してくることを明らかにした。また、プロトックス阻害剤抵抗性タバコ培養細胞に対して、ECDは野生型の細胞に対する効果と同様の光要求性白化効果を有しおり野生型の場合と同様にポルフィリン環10位に水酸基が置換したクロロフィル誘導体が蓄積してきた。この化合物は明暗両条件下で、およびECDの光要求性白化作用を打ち消す効果を示す一重項酸素消去剤の存在下においてもECD処理により誘導されてくる。以上の結果は、ECDの作用が既存のプロトックス阻害剤とは異ること、ECD処理により蓄積されるクロロフィル誘導体が活性発現の要因であることを示している。プロトックス阻害剤抵抗性タバコ培養細胞の各葉緑体型、ミトコンドリア型プロトックス遺伝子の塩基配列を調べたところ、野生型の配列と同一であった。ノザン解析の結果では、ミトコンドリア型のみが野生株に比較して10倍程度の増加を示していた。プロトックス阻害剤存在下で培養した細胞の葉緑体はプロトックス阻害剤の著しい影響を受けて形態が変化していたが、ミトコンドリアには形態異常は観察されなかった。この結果はミトコンドリアはプロトックスの過剰発現により阻害剤に影響を受けないことを示している。以上より、阻害剤の作用により蓄積する光増感物質であるプロトポルフィリノーゲンがミトコンドリアで消費され、その結果プロトックス阻害剤抵抗性を示していると考えられた。これは全く新しい抵抗性発現機構である。
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Research Products
(1 results)