1998 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモンおよび神経伝達物質による魚類食細胞の機能調節
Project/Area Number |
10460089
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
飯田 貴次 宮崎大学, 農学部, 教授 (70159557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 正博 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20178536)
延東 真 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80128355)
|
Keywords | ストレス / コルチゾール / テラピア / 好中球 / 活性酸素 / 貪食活性 |
Research Abstract |
体重差のあるテラピア2尾を同一水槽に収容すると、個体間の闘争行動により順位制が確立された。すなわち、2、3時間で大型魚が優位魚となり、小型魚が劣位魚となった。ストレスホルモンとして知られるコルチゾールは劣位魚の血中濃度が優位魚のそれより明らかに高く、劣位魚がストレス下にあることが証明された。鰾内に好中球を浸出させるために、供試魚を水槽に収容する直前に大腸菌死菌を鰾内に投与し、24時間後に鰾内浸出好中球を採集したところ、劣位魚の浸出好中球数は有意に減少していた。また、その浸出好中球の貪食活性および活性酸素産生能(殺菌活性)もまた、劣位魚が有意に低下していた。ホルモンにより魚類好中球の生体防御活性が調節されている可能性が示唆された。コルチゾール濃度の高い劣位魚の好中球生体防御活性が低下していたことから、次にコルチゾールの好中球生体防御活性に与える影響をin vitroで調べたところ、10ng/ml以上の濃度で抑制的に影響することが明らかとなった。この濃度は劣位魚の血中コルチゾール濃度にあてはまり、ストレス時の好中球生体防御活性の低下はコルチゾールの直接的影響によると考えられた。また、コルチゾールを培養液から取り除くと好中球生体防御活性が回復したことから、コルチゾールの影響は一過性であり、ストレスが取り除かれ、血中コルチゾール濃度が低下すれば、好中球生体防御活性も元に戻ると考えられる。一方、優位魚の好中球では、浸出好中球数、貪食活性に顕著な変化は見られなかったものの、活性酸素産生能は高まる傾向が見られた。これは優位魚にとって劣位魚との闘争が軽い刺激となり、活性酸素産生能が増強された結果でないかと思われる。コルチゾール以外に好中球生体防御活性を調節している因子の存在がうかがわれた。
|
Research Products
(1 results)