1998 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズム突然変異マウスに関する遺伝学的及び生理学的研究
Project/Area Number |
10460130
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
海老原 史樹文 名古屋大学, 農学部, 教授 (50135331)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 崇 名古屋大学, 農学部, 助手 (40291413)
松田 洋一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70165835)
蛭薙 観順 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00126898)
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70111838)
|
Keywords | マウス / 概日リズム / 突然変異 / 遺伝解析 / QTL |
Research Abstract |
本年度は、概日リズム突然変異マウスについて、遺伝学的解析及び生理学的解析を行った。 (1) 遺伝解析及びマッピング 通常マウスは24時間よりも短い概日周期を示すが、CSマウスは24時間よりも長い概日周期を示す。この特性をもたらす遺伝的要因を明らかにするため、概日周期を量的形質として捉えQTL(Quantitative Trait Loci)解析を行なった。また、野生マウス集団から分離した無周期マウスについても同様にQTL解析を行った。 CSマウスについては、C57BL/6マウスとの交配から得たF2個体を用い解析を行なった結果、第5染色体(LOD=3.5)、第12染色体(LOD=3.4)、さらには第19染色体(LOD=3.7)においてQTLの存在が示唆された。次いでCSとMSMマウスの交配より得たF2個体についてこれらの領域を調べたところ、第19染色体上の同じ染色体領域で高いLOD値(LOD=4.2)が得られた。以上の結果から、CSマウスの周期に影響する遺伝子は複数存在し、特に、第19染色体上の遺伝子が周期延長に強く関与していることが示唆された。 無周期マウスは、通常周期が短くなりリズムが消失する。そこで、C57BL/6マウスとの交配を行い、得られたF2個体を用い周期について解析を行なった結果、Ch1、Ch2、Ch3など幾つかの領域でsuggestive(Lod score>2.8)あるいはsignificant(Lod Socre>4.3)な領域が得られた。 (2) 生理学的及び組織学的解析CSマウスの周期延長、リズム分割、活動時間延長等の特性等について、行動学的に詳細に検討した。また、無周期マウスについて、各種光条件でのリズム特性について検討した。さらに、視交差上核について組織学的に検討し、形態学的な異常は見られないことを明らかにした。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] T.Yoshimura: "Decline of circadian photosensitivity associated with retinal degeneration in CBA/J-rd mice." Brain Research. 779. 188-193 (1998)
-
[Publications] A.Adachi: "Phase-relationsip and mutual effects between circadian rhythms of ocular melatonin and dopamine in the pigeon." Brain Reseaerch. 792. 361-369 (1998)
-
[Publications] Y.Wada: "Identification of rhodopsin in the pigeon deep brain." FEBS Letters. 424. 53-56 (1998)
-
[Publications] 石川 明: "QTL解析:基礎理論と行動遺伝学への応用" 比較生理生化学. 15. 49 (1998)
-
[Publications] 海老原史樹文: "時計遺伝子" ファルマシア. 34. 563-567 (1998)
-
[Publications] A.Adachi: "The relationship between ocular melatonin and dopamine rhythms in the pigeon:effects of melatonin inhibition on dopamine release." Brain Research. 815. 435-440 (1999)
-
[Publications] 海老原史樹文 編: "生物時計の分子生物学" シュプリンガーフェアラーク東京, 201 (1999)