2000 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ・バンデミック対策と予防接種の適応に関する臨床疫学的・免疫学的研究
Project/Area Number |
10470109
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
廣田 良夫 大阪市立大学, 医学部, 教授 (20080624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 昭美 大阪市立大学, 医学部, 助手 (50094496)
田中 隆 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30227144)
伊達 ちぐさ 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60047389)
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Keywords | インフルエンザ / ワクチン / 高齢者 / 赤血球凝集抑制抗体価 |
Research Abstract |
老人病院入院患者を対象にインフルエンザワクチンの有効性を調べた。解析対象は65才以上の531人(接種者234、非接種297)。両群とも女子が80%以上、最高令者は100才を超える。ADLがB以上(寝たきり)の者が80%に達する。 最流行期の最高体温を結果指標とし、cut-off値を38℃または39℃とした。発熱38℃以上のインフルエンザ様疾患(ILI)に関しては、接種のcrude odds ratio(OR)は0.59(95%CI:0.14〜0.84)、12変数を組み込んだunconditional logistic modelによるadjusted ORは0.60(0.42〜0.88)、病棟で層化したconditional modelによるadjusted ORは0.57(0.39〜0.84)であり、有意なワクチンの発病防止効果を認めた。発熱39℃以上のILIに関しては、各々0.50(0.30〜0.85)、0.53(0.30〜0.91)、0.49(0.28〜0.87)であり、conditional modelで得られたORから、39℃以上のILIに対するワクチンの発病防止効果は38℃以上のILIに比べて、19%大きく検出されたことになる[(1-0.49)/(1-0.57)]。また男性は女性に比べて発病リスクが大である、ADLが低いものでは発病リスクが増大する、という結果を得た。 採血が可能であった69人(68〜95歳)についてHI価を測定し、ワクチンに対する抗体応答を調べた。1回目接種では、A/北京/262/95(H1N1)で54%(21/39)、A/シドニー/5/97(H3N2)で82%(32/39)、B/山東/07/97で26%(10/39)であった。2回目追加接種の効果は認めなかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 廣田良夫: "インフルエンザを巡る状況をどう見るか."日本医事新報. 3954. 74-75 (2000)
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[Publications] 廣田良夫: "インフルエンザワクチンの有効性と疫学的考察"インフルエンザ. 1(1). 35-40 (2000)
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[Publications] 廣田良夫: "インフルエンザワクチンの現況と今後"化学療法の領域. 16(11). 1956-1963 (2000)
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[Publications] 廣田良夫: "インフルエンザワクチンの有効性と適応"治療. 82(11). 2757-2761 (2000)
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[Publications] 廣田良夫: "一般小児に対するワクチンの有用性"小児科診療. 63(12). 2103-2106 (2000)
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[Publications] 廣田良夫: "幼児等に対するインフルエンザワクチンの有効性と安全性"日本医事新報. 4009. 44-45 (2001)
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[Publications] 廣田良夫: "インフルエンザワクチン接種の実際とコツ"南山堂. 107 (2000)
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[Publications] 廣田良夫: "インフルエンザのすべて-その臨床の最前線-"(株)新興医学出版社. 134 (2000)