1998 Fiscal Year Annual Research Report
窒息死の診断に用いうる生化学的指標および遺伝子の検案
Project/Area Number |
10470118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三澤 章吾 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50086534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 輝昌 東京医科歯科大学, 難治療患研, 助手 (20242109)
小湊 慶彦 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (30205512)
本田 克也 大阪大学, 医学部, 助教授 (00240789)
猪俣 伸一 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10282352)
田中 栄之介 筑波大学, 社会医学系, 講師 (30138416)
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Keywords | 窒息 / エリスロポエチン / 酸素センサーFixL / 酸素・金属応答遺伝子 / ウェスタン・ブロッティング / スーパーファミリー |
Research Abstract |
窒息死を診断するための客観的方法・指標がないのが現実である。そのため、窒息死、特に遷延性窒息死のための、解剖所見以外の客観的指標が求められてきた。 そこで、低酸素状態において発現が誘導される遺伝子、ならびにその遺伝子産物(蛋白質)に着目し、それらを指標に用いて、窒息 特に遷延性窒息の診断を試みることを目的として実験を行った。 その目的のために低酸素状態時に誘導される遺伝子を数多く同定してきた。その中にはエリスロポエチン(EPO)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インターロイキン-α(IL-1a)、エンドセリン等のサイトカイン、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、オルニチン脱炭酸酵素等の酵素、HIF-1、NF-KB、Fos/Jun等の転写因子が含まれる。 原核生物の酸素センサーFixLでは、ヘム鉄が酸素の着脱に関与していることが想定されたので、理化学研究所・生体物理化学研究室との共同研究により、ヘムを固定しているアミノ酸残基を決定した(Nakamura et al.,1998)。さらに、ヘム鉄を含んだ酸素センサーFixLを結晶化し(Miyatake et al.,投稿中)、立体構造を解明することに成功した(Miyatake et al.,投稿準備中)。 Differential ScreeningやmRNA Differential Display等の技術を用いて、低酸素状態や金属暴露よって発現が誘導される遺伝子群(酸素・金属応答遺伝子スーパーファミリー)の存在を明らかにした。そして、全遺伝子の約1%が、このスーパーファミリーに属するものと考えられ、おそらく数百種類の遺伝子があるものと推定している。さらに、それらの中から新規の遺伝子を見い出した(Okada et al.,投稿中)。エリスロポエチン遺伝子のプロモーター領域が低酸素状態において活性化される現象は、細胞系列に特異的であることを解明した(Kambe et al.,1998)。さらに、エリスロポエチンの遺伝子発現は、2種類の転写因子(HNF-4とHIF-1)の相互作用によって制御されていることを解明した(Zhang et al.,投稿準備中)。 現在司法解剖された検体の脳・肺・肝・腎・脾などについて、遺伝子産物に対する検体を用いてウエスタン・ブロッティング法で、予備的実験を行っている。数種の抗体は既に作製済である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 阪本奈美子・三澤章吾 他: "乳幼児突然死症候群におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド含有肺神経内分泌細胞の分布の免疫組織化学的検討" 日法医誌. 52(1). 27-36 (1998)
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[Publications] Terumasa Tsuchiya: "Embryonal Carcinoma P19 Cells Produce Erythropoietin Constitutively but Express lactate Dehydrogenase in an Oxygen-Dependent Manner." Blood. 91. 1185-1195 (1998)
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[Publications] Terumasa Tsuchiya: "Identification of the Hydrophobic Amino Acid Residues Required for Heme Assembly in the Rhizobial Oxygen Sensor Protein FixL." Biochemical and Biophysical Research Communications. 247. 427-431 (1998)
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[Publications] 土屋輝昌: "エリスロポエチン (赤血球)三輪監修" 医学書院, (1998)
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[Publications] 土屋輝昌: "低酸素応答に関する転写因子(血管新生と疾患)渋谷監修" 最新医学社, (1998)