1998 Fiscal Year Annual Research Report
キセノンによる麻酔作用の分子メカニズム解明に関する研究 -不活性ガス-キセノンによる麻酔は特異的それとも非特異的作用によるか-
Project/Area Number |
10470317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真下 節 大阪大学, 医学部, 教授 (60157188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉矢 生人 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (80028505)
浜中 俊明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手
内田 一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (00232843)
西村 信哉 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (00263286)
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Keywords | 麻酔作用 / 非特異的 / 特異的 / 作用メカニズム / 重水 / キセノン / イソフルレン / MAC |
Research Abstract |
本研究は、キセノンの麻酔作用が非特異的または特異的メカニズムのどちらに因るのかを明らかにすることを目的とする。 体内水分を重水で置換したマウスと正常マウスに対する揮発性麻酔薬イソフルレンおよびキセノンの麻酔作用をMACにより比較して、キセノンのクラスレート形成作用が麻酔現象と関連するかどうかを調べた。生後8週のマウスに50%重水を含んだ水を2週間与えて重水置換マウスを作成し、同期間普通の水を与えた対照群と比較した。容量20Lの加温装置の付いた透明密閉容器に重水群および対照群マウスを5匹ずつ入れ、一定濃度のキセノンを含んだ酸素で30分間潅流した。マウスの尾を一分間クランプして体動の有無を判定した。最初のイソフルレン濃度を0.8%に、キセノン濃度を40%にして、10%の間隔で全部のマウスが反応しなくなるまで麻酔薬濃度を上昇させる。以上の測定をマウスを換えて3回行い、プロビット法によりイソフルレンおよびキセノンのMACを算定した。揮発性麻酔薬イソフルレンのMACは重水投与群および対照群でそれぞれが1.22%、1.33%で、重水投与群で有意に低値であった。また、キセノンのMACは対照群で82%であったが、重水投与群で現在測定中である。以上の結果より、マウスの体内水分を重水に置換することによって麻酔薬の作用が増強することが判った。これは、水構造の変化によって麻酔作用が影響を受けることを示しており,吸入麻酔薬の作用が非特異的なものであることを示唆する。
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