Research Abstract |
本年度は、全体研究会を1回、国際ワークショップ1回,サブ研究会を6回開催した。その成果として雑誌の「空間・社会・地理思想」第5号を刊行した。まず、サブ研究集会では、昨年度からのフェミニズム地理学、ジェンダー地理学グループに加えて,郷土研究会がスタートした。前者のグループは,雑誌5号に引き続きジェンダー地理学翻訳特集を寄稿し,後者のグループでは,雑誌地理などに連載記事を掲載して,いずれも近年の地理学の最新動向の紹介と,経験的研究を深めていった。8月に大阪で開いた国際ワークショップでは,香港,シンガポール,カナダで活躍する代表的な地理学者,人類学者を招聘し,Osaka Workshop for Frontiers of Asian Geographiesと題して,日本側からも数名の地理学者が加わり,3つのテーマでワークショップを行った。近代化,工業化と国土,地域の変容,およびそれにまつわる地理イデオロギーの変容に関して,理論的経験的研究が整理を行ない、ジェンダー問題と地理学の課題について,そして東アジアの開発をめぐる問題構制や地理思想について活発な議論を行った。その成果の一部は,雑誌「現代思想」27-13号において,変容する空間と題して特集を組み,水内,久武,水岡がオリジナル稿を寄稿し,ハーヴェイ,ソジャ,グレゴリー,スミス,トールといった代表的な地理学者の翻訳を掲載した。また竹内は,本科研の伝統を当初より受け継いできたが,"Modern Japanese Geography: An Intellectual History"と題して,今までの地理思想,地政学,地理学方法論の竹内の蓄積を英語で披露する本を出版した。全体研究会は1月に開かれたが,サブ研究会報告とともに,若手による空間哲学の紹介や,漱石と地理学といった紹介がなされた。
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