1998 Fiscal Year Annual Research Report
科学素養(Scientific Literacy)の生涯発達と社会的文脈の効果
Project/Area Number |
10480029
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 玄三 熊本大学, 教育学部附属教育実践研究指導センター, 助教授 (40211437)
武村 重和 広島大学, 教育学部, 教授 (70112159)
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Keywords | 科学素養 / 生涯発達 / 社会的文脈 / 理科教科課程 / 理科教授学習 |
Research Abstract |
本研究は、(1)生涯発達的な視座から展望した場合、学校理科学習は科学要素の再生産にどの程度寄与しているのか、(2)科学素養の獲得と変化に領域固有な性質は見られるか、(3)市民としての科学素養の年齢変化は社会的文脈にどの程度影響を受けるか、の3点を明らかにすることをねらいとしている。 本年度は、まず小・中学校の校長及び教師との打ち合わせ会議を複数回行うことにより、科学素養に関する調査で使用する質問紙の開発を行った。試案を作成した段階で、小・中学校や高等学校の児童・生徒、ならびに成人(大学生・小学校教師)を対象に予備調査を実施し、試案質問紙の妥当性および信頼性を検討した。 またこれと並行して、社会的文脈における科学素養に関して分析活動を実施した。科学雑誌『ニュートン』と『朝日新聞』に関して、1989年以降10年間の科学記事について分類を行った。前者において科学素養と関係したトピックは、動植物、物質とエネルギー、地球と宇宙、一般科学、メタ科学に分類された。後者においては、科学、科学の特徴、科学による勝利、発見、動植物、医学、化石、宇宙探検、観察経験に分類された。 さらに、科学素養研究の先進国であるアメリカの研究者と交流を持ったほか、海外諸国の科学教育研究者による科学素養の捉え方について分析した。前者に関しては、武村がアラスカ大学を訪問して科学素養に関する研究のレビューをうけたほか、マンザーノがコロンビア大学・ハーバード大学・MITを訪問して科学素養と構成主義的視座に基づく理科教授学習の関わりに関する研究のレビューをうけた。後者に関しては、科学素養に関する国際会議をオーストラリア・中国・エジプト・ケニア・韓国・フィリピン・タイ・英国・アメリカ・ユネスコ/バンコク事務所からの参加者を得て広島市で開催し、科学素養について幅広い意見交換を行った。
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