1998 Fiscal Year Annual Research Report
汚染物質の地中集積機構にかかわる地下水学・水文地質学的研究
Project/Area Number |
10480123
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
唐 常源 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80251198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新藤 静夫 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (70058014)
佐倉 保夫 千葉大学, 理学部・地球科学科, 教授 (70153947)
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Keywords | 土壌・地下水汚染 / 透水係数の空間分布 / 粒度分布 / 有機塩化化合物 / 汚染浄化 |
Research Abstract |
汚染物質の地中集積機構にかかわる「場の特性」として3つが挙げられる。第一は多孔質媒体としての水文地質条件に関する堆積組成、堆積構造の不斉一性、粘性土の存在とその性質などである。第二は汚染物質の動きを支配している変動要因としての水循環条件、例えば土壌水分状態、水分フラックス状態、地下水面変動状態、「涵養-流出」場状態などである。そして第三は汚染物質そのものと、それによって変質することが予想される地層である。 本年度は、我々はある工場跡地における汚染物資の存在形態をについて詳細に調査した。それによると汚染物質は過去の地形に由来すると思われる透水性の悪い面の傾斜に沿って移動・浸透するが、その過程で滞留や浸透をし、結果的に汚染物質の滞留の痕跡と思われる土壌の(黒色)変色部分の分布形態は非常に複雑であると考えられている。特にこのような有機塩素系化学物質に代表される汚染や土地改変などによる人工的な要因により本来の地質特性を失った条件下では地点間において汚染分布や地質特性である透水係数が不連続に近いと言えるほど急激な変動を示すということが分っている。そのために、人為的な要因により変化した透水係数と汚染物質との間には何らかの関係があるのではないかと想定し、その関係を明らかにすることを試みた。 その結果として、(1)有機溶剤による汚染物質の分布と透水係数の分布は非常によく似た分布を示し、汚染濃度の高いところで透水性は悪くなる傾向がある。(2)汚染物質の垂直分布と現地の地質より当研究地の汚染形態は、深度7m程の浸透マスに汚染物質を埋めたものと推測できる。(3)当研究地での汚染の形態は地層の透水性に沿って2つのパターンで分布した。 また、来年度の継続研究は、粒度分布から見る透水性を把握し、汚染物質の存在形態については有機溶剤の吸着や地下水の流動など多くの要因を取り入れてモデルを構築する。
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